[Data]
ハード:Playstation 2
メーカー:コナミ/日本ファルコム
発売日:2005.03.10
ジャンル:アクションRPG
実勢価格:1,000~1,500円(中古価格)

評価:★★★☆

[Review]2018.12.26

イース ~ナピシュテムの匣~

●ストーリー
<旅立ち>
 私たちはその日のうちにエディスに向けて出発した。遥かなアフロカへと思いを馳せていた私たちは、見えざる力によってエディスに引き寄せられていることに、このときまだ気づいていなかった。

<エディスにて>
 私たちが期待に胸を膨らませているときだった。見知らぬ2つの人影が、私たちのテーブルの横でぴたりと立ち止まった。

<再会>
 「赤毛のアドルだな?」男はそう言い、油断なく光る片目で私を見下ろした。私の返答を待つこともなく、彼は続けた。
 「どうだ、俺たちと一緒に”世界の果て”を見に行かないか?」

<カナンの大渦>
 「ここが渦の中心――そして今、俺たちが目指している場所だ」胸の奥に力強い鼓動を感じ、私は改めて眼下の渦を眺めた。《カナンの大渦》、その先に広がるまだ誰も見たことのない天地……。ラドックの語る世界には、私の求めるものすべてがあった。

<襲来>
 船縁に駆け寄ると、私は海に視線を走らせた。東の海上に、波を分けて迫ってくる艦列が見えた。見守るうちにそれは舵を切り、砲列の並ぶ船腹をずらりとこちらに向けて揃えた。

――アドル=クリスティン著『翼の民を求めて』第一部より抜粋

●概要
 赤毛の冒険家アドル・クリスティンを主人公に、彼の著書である冒険日誌をゲーム化した「イースシリーズ」の第6作。今回はエレシア大陸の遥か西にある”世界の果て”のカナンの大渦の中心にある「カナン諸島」を舞台とし、有翼人の伝説と、その遺産「ナピシュテムの匣」の謎に迫る。

 SFCで発売された「イースV 失われた砂の都ケフィン」以来、実に8年ぶりの新作。2003年にWindows版が発売され、翌2004年からはケータイアプリとして、そして2005年にPS2版・2006年にPSP版が発売された。PS2・PSP版はコナミの米国子会社「Konami Digital Entertainment Inc.」が移植及び発売を担当している。コナミデジタルエンタテインメントって国内にもあるよな?と思ったら、国内は「Konami Digital Entertainment Co., Ltd.」らしい。わかるか。

 年代もかなり経過したということで今作からポリゴンによるフル3Dを実現、迫力が大幅に増した。イースVに引き続きジャンプできるようになったりしているが、操作系は相変わらずシンプルで分かりやすく作られている。
 PS2・PSP版には「VI」がついていないが、続きものであることを理由に手を出さないユーザーへの配慮、とのことだったそうだ。イースの名前程度は知っているユーザー多かっただろうし、この配慮が果たしてどこまで作用したものなのか…

●ストーリーについて
 自分はIVまではプレイしているがVをプレイせずにVIに来たので、Vのキャラが序盤から出てくるあたりでちょっと失敗したかなと思ったが、ほんとに序盤だけだったので大きな影響はなし。とにかくサクサク進む、イースらしいストーリーの作品だなあと思って進めることが出来た。古代の大いなる遺産、大洋の気象をコントロールできる「ナピシュテムの匣」なんてもうイースそのものじゃないですかね。イースに求める要素は一通り揃えていたんではないかと。
 海に投げ出されるスタートから始まり、ダンジョン内を一人で潜り抜けてくるヒロインなど、過去イースを思い出させる要素もいくつか。良くも悪くもイースから一歩も飛び出てない感じは評価されるべきか否か…。

 ストーリーというところで行くと、今作だけオープニングにオリジナルのムービーがついているが全体的に作画が安定せず、ハンサムな造形過ぎて柳生十兵衛みたいになったラドックから始まり、まあドギはいいとして(あごの大きさがムービーによってだいぶ異なるけど)、アドルも作画が全く安定しなくて急におっさんになったり。テラもイラストとムービーが違いすぎて年齢が全く分からなくなるレベル。アメリカの会社に作らせるとこういうことになるのかな?

●操作…ダッシュジャンプのみ難
 ○での攻撃・×でジャンプ・□でアイテム使用・△は魔法使用。L1/R1で剣の切り替えが出来るようになっている。剣は「エメラス剣」と呼ばれるもので、ストーリー進行で手に入り最大3種類。従来のイースのような装備の付け替えは存在しない。
 ジャンプ上昇中+攻撃で上突き・下降中+攻撃で下突き攻撃。下突きはイースIIIのジャンプ攻撃と似たモーションの攻撃で、地面の敵に複数回(最大4回?)ヒットさせることが出来る。
 ○での地上攻撃は3連撃が最初から出来るようになっていてダメージを与えた際の効果音も素晴らしく、ズバズバ切っていく感じがすごくよく出ていて楽しい。イースはレベル上げを必要とする場面も出てくるが、こういった基本動作の快適さでレベル上げがさほど苦にならないのは毎度毎度凄いなあと思う。
 強いて言うと、ジャンプがあることによって空中を漂うタイプの敵が数多く出ていて、空中の敵に攻撃するのがちょっと難しい感がある。

 他に、一部ダンジョンでとても有用となる「ダッシュジャンプ」という基本動作があるのだが、”方向キー入力後いったん離しニュートラル状態にして攻撃+ジャンプ」という慣れるまでに相当の苦労を強いられる操作系。まだ救いなのは「使わなくてもクリアまでは持っていける」というところだけど、何にしてもテクニックを要する操作は今までのシリーズでもほとんどなかったはずで、簡単操作を一つのウリとしているはずのイースにしてはらしくない。
 クリアに必須ではないがアイテムコンプリートには必須であるため、コンプリートしようと思ったら絶対マスターしなければならないというのもね…

●音楽・声
 Falcom Sound Team jdkによるイースらしいサウンドの数々。なんだけど、イースと言えばわくわくするフィールド音楽という印象があるので、今回はいい音楽なんだけど高揚するところまでは行かないという感じで、ちょっとおとなしかったかなとも思ったり。最初のフィールドであるクアテラ樹海の曲が思ったよりもキレイ系でおとなしかったのが個人的に響いている気がする。
 カナン平原「windsplash steps」やグラナヴァリスの曲「montain zone」など、テンション上がる曲ももちろんあるのと、最終盤になるけど異色の打ち込み曲「black ark unveiled」も個人的にヒットした。あとはボス曲「MIGHTY OBSTACLE」は鉄板ですかね。

 声については、これはいろんなところで散々言われているので今さらという気もするけど、テラの声はやっぱりどう聞いても棒読みに聞こえてしまうのと、休止から復帰した丹下桜さんを使ったのはいいがあまりキャラ設定に合わない声になってしまったように聞こえたり。

●総評
 さすがイース!という爽快感はあったものの、何かこうパンチ不足というか、ワクワク感がちょっと薄いかなーと。イースに期待するハードルが高いというのもあるかもしれないんだけどね。