[Data]
ハード:Playstation 3
メーカー:コンパイルハート
発売日:2007.09.27
ジャンル:RPG
実勢価格:300~500円(中古価格)

評価:★★

アガレスト戦記

●プロローグ
 それはまだ神話の時代。忘却の彼方へと続く扉が開かれていたときの物語。
 「アガレスト」と呼ばれるその世界には五つの大陸が存在した。全ての大陸には、大地を貫き点を支える巨大な柱がそびえ立ち、その威容はまさに神そのものであった。

 五つの大陸の一つ「ルクレリア」。物語と、神話の終焉は、そこから始まる。

 レオンハルトは守るべきもののために全てを捧げる———未来さえも。
 彼が死の間際に交わした契約。それは———

 魂の器となり、神の地を受け継ぎし乙女と共に世界を支える柱となること。
 約束された破滅… 受け継がれる宿命…
 それは魂により紡がれた最後の神話として語り継がれることになる物語……

●概要
 コンパイルハートのPS3進出第1弾タイトル。契約を結び「魂の器」になった主人公が5つの大陸にある柱を封印するために戦う。5つの大陸ではそれぞれ違う世代の主人公がいるが、世代ごとに3人のヒロインから1人を選択し、そのパートナーと「ソウルブリード」を行うことで次世代の主人公が誕生、選んだパートナーによって次世代主人公の見た目やパラメータが変化していく。
 回りくどい言い方だが要は「子作り」であり、イベントでのお色気イラスト・のぞきイベントなどの描写や恋愛関連イベントなども見どころの一つ。

●システム① マップとポイント・イベント
 ワールドマップ上のポイントを移動し、移動した先で戦闘やイベントをこなすのが基本の進め方。ポイントにはイベントが発生する「イベントポイント」・戦闘が発生する「バトルポイント」・ダンジョン探索に切り替わる「クエストポイント」・アイテム購入や強化などが行える「街」の4種類があり、バトルポイントをクリアして行動範囲を広げながらイベントポイントに入る、という流れになる。

 イベントの中にはヒロインとの好感度が上下する選択肢のイベントが数多くあり、好感度は画面右下のヒロインの表情で判別できる。世代ごと発生するソウルブリードの際には、好感度が一定以上ないとパートナーとして選択ができない。

システム② 戦闘
 戦闘はシミュレーション風味の戦闘だが、味方・敵の移動が一斉に行われる”移動フェイズ”があり、その後攻撃などの”行動フェイズ”に移る「エクステンド・ターン・バトル」が採用されている。一人ひとり移動→攻撃ではないため、ターンの最初に敵の行動パターンを予測して全員の動きを決定する必要があるわけだ。
 もうひとつ、各キャラクターには「エクステンドエリア」と呼ばれる連携エリアが設定されており、連携エリア内に他のユニットを配置させることで連続攻撃や連携攻撃が可能に。移動フェイズでは全員のエクステンドエリアを見ながら、連携がうまく行えるような配置に動かすことも重要となる。

 戦闘に入る際のフィールドはストーリーが進むごとに入手できるフィールドアイテムで変更が可能。形そのものが変化するほか、フィールドにパラメータ変化の専用マスが設けられるなどの特殊効果が生まれる。

●ストーリー・キャラクター
 各大陸が魔物の侵攻と各国の思惑で揺れ動く、そのストーリーはなかなかに面白い。主人公もそれぞれ異なった性格だがしっかりとした芯があり、ハーレム属性ばかりとは言え悪くない。
 この手の作品によくある描写不足はどうしても目につき、全ての流れをバストアップによるキャラの移り変わりと喋りだけで何とかしようとしてしまう。規模感の伝わりにくさが目に付くなあと。最近こんな評価の作品が多い気がする。シャイニングシリーズとかがそうだけど。

 ヒロインは世代ごとにいろんな見た目・性格のキャラクターが登場し、バストアップ絵を中心になかなか美麗だが、よりによって専用イベントのクオリティが一番低い。せっかくのお色気ボイスイベントなのにね。こここそ気合を入れるべきだったのでは…
 これはヒロインに限ったことではないが、どうしても棒読みに聞こえるキャラクターがいたり、音声の収録の問題か音量がキャラによってまちまちだったり、ちょっと割れてる(ビットレートが低い?)声のキャラがいたり…と、このへんのクオリティも残念ながら安定していない。

●ターン縛りがもたらす弊害
 この作品、各世代のイベントを見るのに「何ターンまでに●●にたどり着くこと」という条件が設定されていることが多いんだけど、このターン縛りをある程度こなしながら進めると、ザコ相手のバトルポイントですらかなりの苦戦を強いられる。
 武器・防具などの装備品は入手したアイテムを組み合わせることによる「錬成」でしかほぼ手に入らず、ターン縛りをすると稼ぎが出来ないのでアイテムを集まらず錬成もできない→強い装備が集まらない。結果ボスなどで詰まったときの対処がただただ面倒になる。
 ターン縛りを無視して稼ぎながらと言っても、シミュレーションタイプの戦闘では1回にかかる時間が通常のRPGとは段違いで、×ボタンでエフェクトをキャンセルできるとは言えテンポも決して良くはない。

 戦闘に参加していないキャラクターには経験値が全く入らないのも致命的で、世代ごとに抜けてしまうヒロインに至っては使わないほうが楽に進めるのでは?というレベル。中盤になると”人形”という扱いで前時代の主人公及びヒロインを呼び出せるようになるが、結局第1世代のキャラをさっさと呼び出して前線に置いたほうが強いという有様で、ストーリーと育成関連の雑さ・かみ合わなさがとにかく目に付く。
 呼び出した前時代のキャラはレベルもその当時のままなので、早めに呼び出さないとレベルの遅れが致命傷に。

●総評
 自分にはとにかく合わなかったの一言に尽きるので何とも書きにくいんだけど…。ボリュームはまともに進めて100時間超と相当なもので、はまれば相当長く楽しめるゲームなんだろうし、最終的に連携で3億ダメージ突破なんていう動画もあるくらいだから、やりこみ要素も相当ある作品なんだとは思うんだけどね。
 ボリュームで言えば、世代交代を5世代繰り返す必要性も感じられなかった。正直言ってこれを3世代にしたところでそんなにゲーム性は変わらなかったと思う。ボリュームがあることは決して悪いことではないけど、アイディアファクトリーはどうもこの辺のバランスの取り方が上手くない。多少日本一ソフトウェア辺りを見習ってほしいところ。