[Data]
ハード:Playstation 3
メーカー:コードマスターズ
発売日:2013.03.07
ジャンル:レース
実勢価格:1,500~2,500円(中古価格)

評価:★★★

F1 RACE STARS

●概要
 セバスチャン・ベッテル、ジェンソン・バトン、ミハエル・シューマッハ、キミ・ライコネン、小林可夢偉など、2013年当時のF1で活躍していた実在ドライバーをデフォルメし、カート風になったマシンで世界各国のコースを走り抜けるレースゲーム。コース中で手に入るアイテムを使って敵車を邪魔したり、コース中のブーストギミックやスリップストリームで加速したりすることで上位進出を狙う。
 公式のF1チーム12チーム+オリジナルチーム2、1チーム2名のドライバーで計28名のドライバーが登場。チームによって特殊なアビリティが備わっていて、アイテムに特別な仕様が加わる。
 コースについてもF1で実際に走行する11の国々がデフォルメされて登場、ショートカットやカートにダメージを与えるオブジェクトの数々など、様々なギミックで楽しませてくれる。

●ゲームメニュー
 メインとなるのは「キャリア」モードで、所定のツアーに参戦してトロフィーを獲得し新しいツアーをアンロックしていく。最初は1位を普通に獲得するレースから始まり、その後は「ステージ中に落ちているトロフィーを拾って所定のポイントを稼ぐ」や「順位をキープし続けると貰えるポイントを貯める」「ステージ中にある燃料を拾い、燃料切れを起こさないよう走る」「決められた区間ごとに最速タイムを叩きだし、獲得ポイントで競う」などのオリジナルティ溢れたツアーレースが展開される。

 そのほか、コースを決めてレースできる「クイックレース」やオンライン対戦などのメニューもある。

●マリオカート風+カートへのダメージ要素をミックス
 この手のゲームは大体マリオカートが元となるが今作も例外ではなく、特にレース中に出てくるアイテムがマリオカートの各種アイテムを元にしているんだろうなあという感じ。まっすぐ進む黄色いバブルとカートを追跡する赤いバブルなんてノコノコのコウラそのまんまだよね。
 マシン自体の動きもカートゲームのそれに近く、テクニックはそれほど要求されない。スピードメーターもなければドリフトもないので、基本R2のアクセルとL2のブレーキだけで操作するのはわかりやすくていいのかもしれない。

 マリオカートと異なるのは「カートへのダメージ」があるという点で、アイテムによる攻撃を受けた際やカート同士がぶつかった際などにカートにダメージが蓄積され、それによってスピードが大きくダウンする仕様になっている。
 ダメージを受けた車体はコースの数ヶ所に設置されているピットにピットインすることで修理することが出来、修理が完了するとスピードが元に戻る仕組み。F1と言えば給油・タイヤ交換などのピットインによる順位変動も見どころの一つなので、意識したことが伺える仕様だ。

●豊富なギミックと美しいグラフィック
 各コースに豊富なギミックが用意されているが、まず全コース共通のものとしては、青い星で彩られた一定のゾーンでアクセルを離す→踏みなおす(1ゾーンにつき最大3回まで可能)ことでゾーン終了時に急加速させることのできる「KERSコーナー」システムが導入されている。もともとはブレーキで使うエネルギーを有効活用する仕組みだそうだが、元の仕組みをうまく使った面白い内容と言える。

 他にも赤いダッシュゾーンやジャンプ台・ジェットコースターのような大きなループ、マシンを邪魔するオブジェクトや地面が動く仕掛けなど盛りだくさん。数回プレイするだけではコース1つの全貌すら理解できないほどに豊富な分岐・ギミックが用意されている。
 ステージ上に必ず置いてある「鍵アイテム」を手に入れることで鍵所持者のみ大幅なショートカットが可能になるという要素もあり、コースを様々知りたくなる作りにしているのが面白い。
 グラフィックもリアル志向ではない分思いっきりデフォルメされたビビッドなステージが多いが、背景のひとつひとつや当然コース内部に至るまで、全体的にかなりの高水準で見ていて楽しい作り。

●凶悪すぎるアイテムの仕様
 今作最大の特徴でありデメリットにもなりえるのがここ。まずは先に紹介した「鍵」だが、プレイヤーが手に入れることが出来ればとんでもなく有利に事を進められる一方、CPUが手に入れた場合でも問答無用でショートカットしてくるため、トップを走行していたはずが気付いたら抜かされていてしかも相当先を行かれている事態が頻発する。
 鍵自体、誰かに取られるとそのプレイヤーがダメージを受けない限り再度出てこない仕様らしく、元々どこにあったのかすらわからなくなる。ちなみに、これを書いている時点でほとんどのコースの鍵の場所をまだ判別できていない。

 一般アイテムについては、設置型バブルや先に紹介した直線黄色バブル・追尾赤バブルのほかに、視界が悪くなるバルーンや上位にいきなりワープできるアイテム、ロケットに変化して敵車にダメージを与えながら突き進むアイテムなど豊富。
 それはいいとして、問題は「ダメージによる減速とセットになっていること」で、攻撃を受けた時のデメリットがかなり大きい。マリオカートよりもさらに「アイテムをたくさん当てたもの勝ち」という仕様に拍車がかかっていて、しかもCPUに関してはかなりの頻度でぶっ放してくるし、、かなりの精度でガードしてくる。

 アイテムの話ではないが一部凶悪なツアー仕様もあって、一番困ったのは「1位になった時だけ左右反転操作になる」やつ。レースゲームの仕様上当然だが順位は一瞬のうちにコロコロ入れ替わるわけで、カーブの最中に順位変動が起こった時が悲惨そのもの。2位狙いというのも結構難しくてね…

●総評
 高品質なグラフィックで見た目から楽しめる作品であり、操作も簡単そのもの。ただしアイテム仕様は前述の通り凶悪で、アイテム攻撃の打ち合いによる足の引っ張り合い要素があまりに強すぎるかなあと。F1に何の関係があるのかよくわからないアイテムも散見されるし、統一感にも欠けるような。