[Data]
ハード:Playstation 3
メーカー:日本ファルコム
発売日:2014.09.25
ジャンル:ストーリーRPG
実勢価格:400~700円(中古価格)

評価:★★★★

英雄伝説 閃の軌跡II

●プロローグ
 ──その一発の銃声が、帝国の運命を変えた。

 鉄血宰相、ギリアス・オズボーンの狙撃に端を発する《貴族連合》による帝都 ヘイムダルの占領-
 そして出現する巨大飛行戦艦《パンタグリュエル》と、《機甲兵》と呼ばれる機械仕掛けの人型兵器の大部隊によって帝国の勢力図は完全に変わり、全土を巻き込む内戦が始まった。
 圧倒的な物量と新兵器で制圧する貴族連合軍。高い練度の兵士と機甲師団で食い下がる帝国正規軍。
 巨大帝国エレボニアで始まった内戦は、予想よりも遥かに激甚となり、いつ終わるとも知れぬ予感に人々が戦慄き、無力さに打ちひしがれるのだった。

 そんな中-
 トールズ士官学院、特科クラス《VII組》に所属するリィン・シュバルツァーは、荒涼とした山岳地帯で目覚めた。
 傍らには人語を操る黒猫、そして灰色の巨大な”騎士”がおり…… 《VII組》の級友たち-共に数多の試練を潜り抜けた掛け替えのない仲間たちの姿はどこにも見当たらなかった。
 -意識が途切れる前に聞いた、仲間たちの別れの言葉と、自分自身の慟哭と絶叫……
 迫りくる蒼い影と、絶望的な戦いの始まった地上の光景が、リィンの脳裏に残酷なほど鮮やかに浮かび上がる。

 「……みんなは無事なのか……」

 「とにかく学院に戻らないと──!」

 黒猫の制止を振りきり、灰色の巨大な影を無視するように覚束ない足取りで山岳地帯を下り始めるリィン。

 それが── 激動の日々と、全ての終わりの始まりだった。

●概要
 日本ファルコムのRPGシリーズ「英雄伝説」第8弾。エレボニア帝国を舞台とする「閃の軌跡」シリーズ第2作で、空の軌跡から始まった軌跡シリーズの10周年記念タイトルとしても位置付けられた。

●ストーリー
 前作のエンディング後すぐから描かれる作品で、今回は離れ離れになったVII組メンバーとの合流、正規軍とも連合軍とも違う”第三の道”へ、そして士官学院の奪還へと進んでいく中で新たな事実がいくつも明かされてゆく。
 基本は今までと同様、行った先々で新たな展開が発生するパターン。ピンチの時にさっそうと登場する味方、というパターンが多いのは気になるところだが、本編でももはやネタ扱いになっているのがいいのか悪いのか…。
 IIになってメインに近い役どころになったキャラで言うと、デュバリィのキャラ立ち具合がとっても良かった。碧の軌跡にも登場して片鱗を見せていたとはいえ…。マクバーンとのコンビも素晴らしかったな。
 本編+外伝・後日譚まで完備、プレイ時間はサブイベントなどの寄り道をやりながらで60時間超。前段紹介した通り「軌跡シリーズ10周年記念タイトル」ということで、いつもより大盤振る舞いした感はある。ただ今回に関しては、正直後日譚くらいまで行くとちょっと冗長感も感じてしまった。隠しダンジョンみたいな位置付けにしてくれればよかったのに、メインストリームに持って来ちゃったからだとは思うんだけど。

●キャラクター
 前作から引き続きのVII組メンバーに加え、トヴァル・リィンの妹エリゼ・アルフィン皇女やサラ教官・クレア・シャロン・アンゼリカにトワ会長まで、パーティに加えることが出来るキャラクターは前作から倍以上にまで増えた。とは言え、VII組メンバー以外はストーリー進行によって都度出入りするので、最終的にはVII組メンバーからパーティが選定されることになるだろうと思う。
 加わった当初はクレア・シャロンあたりが特に超即戦力だが、それもストーリーが進むとメインキャラの強さが前面に出てくるので薄れてくる。エリゼとアルフィン・トワ会長はボーナスキャラというか、メインで使うには正直結構厳しいかも。

 前作は比較的通常攻撃+クラフトでも進めたバランスだったが、今作はダメージ効率を考えると最終的には強力なアーツをぶっ放したほうが強く、クオーツ「覇道」&神気合一+裏疾風で大ダメージソースになりうるリィンを除けば、ほぼアーツメインキャラの攻勢で挑んだほうが進めやすくなる。いつもの軌跡シリーズに戻ったと言えばいいのかな。マスタークォーツ「パンドラ」や「リベリオン」などを絡めたエマ・エリオット・アリサなどが便利。
 回避の面で行くと、強い武器+状態異常系クオーツ装備限定ではあるがフィーもかなり強いけど。こう考えていくと、男性陣の不遇っぷりは前作からさほど変わっていないような…

●戦闘・クォーツ・クラフト等
 戦闘では、前作からあったリンクシステムに加え、パートナー同士で3ターンの間連続攻撃ができる「オーバーライズ」が追加された。碧の軌跡で使われていた「バースト」と近い内容で、バーストよりも発動ターンが短く人数も少ないが、代わりに100%崩しが入る。個人的には終盤ボス以外ではさほど使わなかったが、うまく使えると相当強いんだろうか。

 前作終盤に登場したロボ同士の戦闘「騎神戦」については、パートナーキャラを選ぶことが出来るようになり、パートナーキャラのターンで様々な行動が可能になった。前作からそうだったが、結局相手の弱点個所を憶えるじゃんけんみたいなシステムになっていて、単純に戦闘を間延びさせるだけになっているような感もあり、なくてよかったとは思わないが正直微妙な点も。
 パートナーについても、サラ教官の鳴神がダメージ+攻撃力速さダウンという明らかにぶっ飛んだ性能で、これだけあればOK。

 難易度は、前作よりはやっぱり難しくなった。予想していた通り、Sクラフト1発で全滅させられるような明らかに格上キャラが多数登場。ザコ敵でも、下手に全体アーツを打たれると一撃即死もザラ。ただ、他の作品と比べて難しいかと言われると、一部ボスを除いてはそれほどでもない、という感じか。
 前作からの引き続きだが、状態異常付加のクオーツが有用なことが主に上げられ、ザコ敵は終盤まで状態異常による行動不可でタコ殴りにできるし、ボスも遅延か状態異常のどちらかは効くというものが多く、装着するクオーツ次第でかなり楽に進められるようになる。前述の通りアーツが今回かなり強いので、ZERO-ARTSを引けたもんなら強火力で押し切れる感じだからなあ(あくまで難易度NORMALの場合)。

●音楽
 前作から引き続きの曲もあるが、40曲近い新曲が加わった。印象に残る曲としては、テンション上がる騎神戦「Transcend Beat」や結社メンバー及び西風の旅団戦などで流れる「Severe Brow」、ユミル渓谷道の音楽など。ストーリーの流れもあり、全体的にフィールド系の音楽は前作よりも哀愁漂う感じのものが多くなっているが、これはもはや軌跡シリーズおなじみというところか。

●総評
 これでまだ続くのか…的な感覚は今回もあるにせよ、順当に進化したシステム・緊迫のストーリー展開、高品質なサウンドと破綻のない作りになっているところはさすがのクオリティというところ。3以降はPS4か…