[Data]
ハード:Playstation 3
メーカー:スパイク/ASCARON Entertainment
発売日:2010.02.10
ジャンル:オープンワールドアクションRPG
実勢価格:300~500円(中古価格)

評価:★★

Sacred 2 : Fallen Angel (セイクリッド2)

●ストーリー
遥か昔よりアンカリアの大地を流れる力、T-エネルギー。
それは命の源、魔法の素であり、全ての思考の素でもあった。
T-エネルギーは長きに渡り、光の種族セラフィムによって管理されていた。
時は流れ、やがてセラフィムはハイエルフにもT-エネルギーの極意を伝授した。

ハイエルフ達の生活はT-エネルギーによって潤い、豊かなものとなったが、
この強大な力は、その強力さゆえの危険を秘めていた。
人々のT-エネルギーを巡る些細な混乱は、
やがてアンカリア全体を巻き込むほどにまで膨れ上がっていったのだ。

混沌の中、この世界に秩序を求める声が上がりはじめた…
アンカリアに秩序をもたらすものは果たして光か、闇か。

●概要
 6種族の中から1つを選び、広大な世界アンカリアを旅する見下ろし視点標準のオープンワールドアクションRPG。メイン・サブ合わせて500以上のクエストと世界の至るところに出現するボスモンスター、そして35平方キロメートルに及ぶ超巨大なオープンワールドマップが特徴。制作はドイツの製作会社、ASCARON Entertainmant社。2009年に倒産し、現在はカリプソ・メディア社としてTropicoシリーズなどの製作を手掛けている。
 見下ろし視点・アイテムのトレハン要素・多数の敵を簡単操作でなぎ倒すあたりで「ディアブロ」の要素と、超広大なマップでたくさんのクエストをこなしてゆく「エルダースクロールズ」の要素を足して2で割ったようなイメージ。

●ディアブロライクな簡単操作+操作・育成は多彩なカスタマイズ
 十字キーの移動のみでジャンプなし、攻撃や今作でコンバットアーツ(CA)と呼ばれる技や魔法の使用は全て○・×・△・□の4ボタンとL2+4ボタン・R2+4ボタンの計12個に自由に設定できる仕組み。メインの攻撃手段は○・×あたりに置いておいて、コンバットアーツ各種を他のボタンに配置して使用するのが通常のパターンになるものと思われる。

 攻撃はボタン押しっぱなしである程度自動ロックオンがかかるので、射程範囲にさえ入れば後は押しっぱなしでほぼOK。いろいろな技を駆使したければ最大12のボタンをフルに使えばいいし、難しいと思ったらメインの4ボタン配置のみでもいいだろうし、とにかく好きにカスタマイズできるというのが肝。個人的にはL2R2まで使う操作はそれほど必要とは思えなかったけど…

 育成についてもカスタマイズ同様で、レベルが上がるともらえるポイントを使ってキャラクターを育てるのだが、基本能力からスキルの覚え方・スキルレベルアップに至るまで、全てプレイヤーに委ねられている。
 まだキャラを1人しか作っていない時点での評価になるが、どう育てるか・どのスキルを育てるか…という選択がかなり難しい印象。

●超広大なマップと凄まじい数のサブクエスト
 冒頭にも書いた通りマップの広さは35平方キロメートルにも及び、マップ踏破率によるトロフィー(30%以上・50%以上で達成)もある。スタートして数十分歩き回ると実感できると思うが、とにかく広い。途中で馬などの乗り物(マウント)に乗ることが出来るようになるが、むしろマウントに乗りながら踏破することが大前提の広さ。まったく個人的な話だが、相当頑張ったかな?と思って踏破率を見たら10%にも満たなくてテンションが下がった。
 正直言って、これを100%近くまでしっかり踏破するのは苦行に近いレベルなので、マップを埋めていくことに快感を覚える人種でもない限り途中でめげるのではないかと思う。トロフィーが50%時点での達成で埋まる(それ以上は埋めなくてもトロフィーに関係ない)のは救い。
 広いフィールドのゲームでおなじみの全体マップから一瞬で移動できる機能、いわゆるファストトラベルはもちろん採用されているが、フィールドの広さに対してちょっと数が少ないかな、とは思った。

 クエストも、序盤のストーリー1章2章だけで200以上のクエストがあり、いくつでも重複して受注できるので管理が大変。一つ一つのクエストが基本お使いばかりになるのはこの手のゲームならばまあしょうがないか…というところではあるのだけど、海外ゲーならではというか、とにかく1つ1つのクエストがテキストだらけで薄いので、この辺はかなり好き嫌いが分かれそう。
 あと、改行が整ってなくて長い文章が見難いのも海外ゲーならでは、という感じがする。

●トレハン要素ももちろん完備
 ディアブロライクのゲームではおなじみ、武器防具を中心としたトレハン要素ももちろん搭載。敵を倒す・道中の箱を開くなどで大量のアイテムが手に入る。
 店に持っていくより入手金額が下がるものの、わざわざ店に行かなくてもアイテムを処分できる「スクラップ」という要素が便利で、アイテムの持てる最大数が多いこともあって、アイテム管理はかなりやりやすい。
 武器防具のレア度は星の数(0~4)で表されるが、「レア度2以上しか入手しない」などのソート機能もあり、このあたりは本家に負けず劣らずという感じでよく考えられている。

●美麗グラフィック、だがフレームレートに難。フリーズも…
 グラフィックは全体的にかなりキレイで、特に水の表現が凄い。波の音や川の音も含めて、海や水にかなりこだわって作ったのかな?と思わせる。もちろんそれ以外にも、草原や砂漠・雪原など、画像として切り取ると水準はかなり高い。
 問題は実際に動かしたときのフレームレート。標準時はおそらく30fpsなのだが、数匹出てきただけで20fpsからそれ以下?くらいまであっという間に低下する。これだけの広大なオープンワールドに多数の敵を配置して動かすというのが相当に無理な処理だったんだろうと思うけど、あまりに処理落ちによるレート低下が多すぎて、長く続けていると頭が痛くなってくる。

 同じ理由だろうけど、マップ読み込み時はメニュー突入時など、至る所でフリーズが発生するのも難点。回避はかなり困難。

●その他難点:ロックオンの仕様
 前段、攻撃は基本的に自動ロックオンになると述べたばかりだが、ロックオン自体はかなり雑。敵に囲まれたときに、目の前の敵を倒し終わったらなぜか画面外の敵にロックオンがかかって移動を始めようとしたり、弓などの遠距離攻撃を直線状の敵に打ちたいのに全然関係ない場所の敵を狙い打とうとしたり。間に壁などの遮蔽物があったとしても全く関係なくロックオンがかかることも多々。

●クエストの管理にも難あり
 これも先に述べた通り、クエストはいくつでも重複して受注可能で、クエストの行き先は全て全体マップでいつでも確認可能。ここまでは非常に親切な設計になっているが、増やしすぎると内部で収拾がつかないのか、マークされた目的地が違う、そもそもマークが消えてしまうなどの事態が多発する。
 現在受注しているクエストを確認できる画面では、クエストを選んで「起動」を押すことでマークの表示しなおしができる機能がついているが、これだけのクエストが乱立すると1つ1つ起動しなおすだけでも一苦労。

●総評
 やろうとしたことはかなり大掛かり、PS3の能力を持ってしても表現しきれなかった作品というべきか、そもそもいろいろと無茶しすぎた作品というべきか…。グラフィックきれい、システムとしてはいろいろ面白いものも多いのに、処理落ち+フリーズでほぼすべて台無しという残念な作品。非常にもったいない。