[Data]
ハード:Playstation 3
メーカー:SCE/Crispy'S!
発売日:2012.06.07
ジャンル:アクション

評価:★★★★

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[Review] 2012.07.21

TOKYO JUNGLE

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 人類が何らかの理由で消え去った東京。ここでは、残った動物たちが生死を賭けたサバイバルを繰り広げている。プレイヤーは動物たちの中から1種を選び、過酷な生存競争に挑む。プレイヤーはこの生存競争を勝ち抜けるか?そして、人類はなぜ東京から忽然と姿を消してしまったのか?
 SCEのクリエイター発掘プログラム「Playstation C.A.M.P!」から生まれた新鋭”クリスピーズ”が手掛ける、渋谷・代々木&地下の全12エリアを舞台とする新感覚の動物サバイバルアクションゲーム。

 選べる動物は最終的に50種類以上(PS Storeで追加配信中のため、おそらくもっと増えていくものと思われる)になる。草食動物と肉食動物に分かれ、この2種では生存方法が大きく異なる。草食動物は自生する草花を食べることで、肉食動物は、各地にうろつく動物を倒して肉を食べることで生き延びる。(アイテムでの回復もある)
 草食動物は全体的に動きが早く2段ジャンプが出来るなど機動力は高いが、防御力がないために他の動物との正面からの対決はもちろん苦手。肉食動物たちからなるべく見つからないように草花を捕食し、見つかったら全力で逃げるという動き方が基本となる。肉食動物に関しては、自分よりも弱い肉食動物や草食動物をどんどん倒して肉を食べるのが基本の動き方。どちらも、捕食することで一定量のカロリーを摂取でき、このカロリー数によってルーキー・ベテラン・ボスと自身のランクが上がっていく。このランクについては、後述のメスとの交尾の際に重要となる。

 ステータスは、「LIFE」「HUNGLY」「STAMINA」の3つの基本パラメータに加えて、一定の状況下で増えてゆく「POISON」ゲージの計4種類。0になると死亡するのが「LIFE」で、他の動物に見つかっていない状態で自動回復する。「HUNGLY」は自動で減少してゆく空腹ゲージとなり、草や動物を捕食することで回復する。「STAMINA」はステップ(緊急回避)をする際に消費するもので、ステップをしない状態で一定時間立つと自動回復する。
「POISON」は、”スモッグ”と呼ばれる環境汚染状態や猛暑などの気候によって上昇するゲージで、このゲージが満タン(100)になるとLIFEが減少してゆく。環境汚染状態では捕食対象の動植物も汚染されてしまう(その状態で捕食するとPOISONゲージが上昇してしまう)ため、汚染地域外で捕食することで上昇を抑えることが出来る。

 各エリアには4箇所のマーキングポイントがあり、4箇所すべてをマーキングすることでエリアを”縄張り”にすることが出来る。縄張り内にはメス(一部オスの場合もあり)が登場、メスと交尾することで世代交代が出来る。世代交代時には基本パラメータが上昇してそれが子世代に受け継がれる。メスにも上からアゲメス・タダメス・サゲメスと3種類のランクがあり、ランクの高いメスほど自身のランクも高くある必要があり、ランクの高い同士で交尾すると、子世代にパラメータ上昇が受け継がれやすくなるほか、自分以外の兄弟の数(生まれる数)が多くなるというメリットがある。兄弟の数は残機数に相当し、自分が死んでも兄弟に操作が受け継がれる。

 ゲームメニューは主に2種類。動物を1種類選んでとにかく生き延びることが基本目的の「SURVIVAL」と、人類消失の謎を追うミッションクリア型「STORY」の2つ。SURVIVALモードではランダムにミッションも与えられ、ミッションをクリアすると基本パラメータや獲得ポイントにボーナスがある(ポイントは動物のアンロックやアイテムの購入に利用)。SURVIVALモードで”アーカイブ”と呼ばれる記録を3つ見つけるごとに新しいストーリーが追加されるという仕組みのため、STORY完全クリアまではSURVIVAL→STORYの繰り返しとなる。STORYモードについては、ハイエナの下水道シナリオがかなり難しかったが、それ以外はそこそこの難易度か。

 ここまでが基本システムとなるが、まずこのゲームのいいところは、システムが多いように見えて整頓がうまくなされており、数種類プレイしたくらいでほぼ理解できるくらいの詰め込み方になっているという点。結局は草食か肉食かの違いであるため、見た目は違っても動かし方にそれほど差がないというのもある。
 登場する動物に関しても、最近配信されたサラリーマンや北京原人あたりは狙いすぎな感があるが、ポメラニアンやヒヨコまで参戦させるバラエティ感はほかのゲームではなかなか味わえないところ。R3ボタンで鳴き声を出せたりとなかなかに芸も細かく、それぞれの動物を動かしてみたいと思わせる魅力がある。
 動物に見つからないように近づいて攻撃する「FINE HUNT」の演出も良く、決まったときの爽快感はかなりのもの。草食動物で肉食動物に見つかったときの緊迫感もいいバランスで取られていると感じる。

 難点も。生存競争の中で強い動物が残っていくというのはわかる。なので、50年経過したあたりからは大型動物ばかりが残るのは当然のことで、そういう意味で年数経過で難度が上がっていくと言うのなら納得もいくのだが、年数が経過していくとスモッグや猛暑などの異常気象が頻発し、POISONゲージにばかり気を使わなければならない状況に陥るというのがちょっと気になった。もともと小動物系は後半の生存が厳しいので、ここまでシビアにする必要があったのか?という疑問が沸く。
 それから、どの動物を選んでもスタート地点は同じ・マーキングする場所も同じ。あとミッションも「○○Kcal摂取しろ」「○匹倒せ」「○○を探し出せ」など、同じようなミッションが何度も発生するため、全体的な作業ゲー感が非常に強い。

 新しい動物のアンロックに関しても「ミッションクリアで開放」というルートを辿るため、対応ミッションをさっさとクリアして動物をアンロック→自殺という形をとらないと非効率で、これに加えてストーリー開放のためのアーカイブ集めも加わると、アンロック+アーカイブ集め→自殺→ストーリー進行→アンロック+アーカイブ集め→自殺…の繰り返しとなり、動物を開放するフローがただただ作業化してしまう。
 これで最初から使える動物が10種類以上とかなら良かったが、最初から使えるのがポメラニアンとシカの2種類だけ。ここから動物を1種類ずつ増やしていくのがあまりに作業過ぎて飽きが来るという残念な仕様になっている。せっかくのウリ(多数の動物を扱えること)を大きく失っている気がするこのアンロックの仕様についてはもうちょっと考えてほしい。

 基本的な動きやシステム・コンセプトはオリジナリティも高く秀逸。もうちょっと作業ゲーの要素が薄ければ良かったなとは思うが。新品でも値段がそれほど高くないので、動物をフル開放できなかったとしても元は十分取れる出来。