[Data]
ハード:Playstation 4
メーカー:日本ファルコム
発売日:2017.09.28
ジャンル:ストーリーRPG
実勢価格:2,500~3,500円(中古価格)

評価:★★★★★

NieR:Automata (ニーア オートマタ)

●ストーリー
 遠い未来。

 突如侵略してきた異星人。
 そして、彼らが繰り出す兵器「機械生命体」。
 圧倒的戦力の前に、人類は地上を追われ月へと逃げ延びていた。

 地球を奪還する為に人類側はアンドロイド兵士による抵抗軍を組織。
 さらに膠着した状況を打破する為、新型アンドロイドである戦闘用歩兵「ヨルハ」部隊を投入する。

 人のいない不毛の地で繰り広げられる機械兵器とアンドロイドの熾烈な戦い。
 やがてそれは知られざる真実の扉を開けてしまう事となる…

●概要
 2010年にPS3で発売された「ニーア レプリカント/ゲシュタルト」の続編となるアクションRPG。ディレクターは前作から引き続きヨコオタロウ氏、キャラクターデザインは「伝説のオウガバトル」「タクティクスオウガ」などのキャラデザを担当した吉田明彦氏。制作は「ベヨネッタ」シリーズなどを手掛けるプラチナゲームズが担当した。
 国内では発売初週で20万本を販売。世界では発売1か月で出荷・ダウンロード販売本数が100万本を突破。その後もじわじわと世界中で売れ続け、発売から2年以上経過した2019年5月14日に出荷・ダウンロード販売本数が400万本を突破したことが発表されるなど、この手のゲームでは異例のロングランヒット作品となっている。

 ベースは後方視点のアクションだが、場面場面で横スクロールアクションになったり真上からの見下ろし視点になったりシューティングになったりと、ここも前作同様の試みがなされている。

●ストーリー:マルチエンディング要素再び
 今回も前作同様のマルチエンディングとなっており、「A」から「Z」まで全26種類のエンディングが存在する。うちF以降の21種類はバッドエンディングになっており、プレイヤーの行動によって発生するもの。助けるはずの場面で助けない・向かう場所へ向かわないなどの行動で発生することが多い。AからEまでの5つが周回を経て取得するメインエンディングとなっている。
 戦闘タイプの女性アンドロイド「2B」の視点で進む1周目・1周目の内容を援護系スキャナータイプの男性アンドロイド「9S」の視点で臨む2周目があり、その後の戦いを描く最終ストーリーへと続いていく。
 各地で受注するサブクエストを入れて、1周目がおおよそ20時間、2周目10時間、その後15時間~、計45時間~というのがおおよそのクリアまでの道のりかと思うが、 まあいいバランスだったかと。これ以上長いとさすがにだれただろうし。

 話の流れはさすがニーアと言わざるを得ない。1周目ですんなり進んだと見せかけて2周目以降で多数の新たな事実。レプリカントよりも救いのある終わり方はしているが、全体に漂うもやっとした空気感はなかなか見ない類のもの。前作の「マモノ」といい今作のアンドロイドや機械生命体といい、テーマ設定がそもそも上手い。

 DODシリーズやレプリカントなどでおなじみのウエポンストーリーも健在で、武器・レベルごとに専用テキストが発生する。シリーズプレイヤーならニヤッとできるテキストが満載で、こちらも武器集めの楽しさを深める一助となっているのは間違いない。

●グラフィック
 時期を考えてもものすごく優れているとは言えなかったレプリカントからは凄まじい進化を遂げ、2017年当時のPS4作品の中でも上位に入ると言ってもいいほどの高品質なグラフィックとなった。この水準のグラフィックが60fpsフルで動く衝撃。こういうゲームを見ると、PS3からPS4への進化を感じるね。
 ゲームを始めると廃墟都市の建物やフィールドの広さに驚き、流れる水の表現にまた驚き。その後も砂漠の砂に、森林地帯の光の表現に、新しいフィールドに入るたびに新しい驚きがあった。
 そのフィールドは今回からオープンワールドとなり、画面切り替えは初期スタート位置となるバンカー以外一切なし。これはPS4の能力の為せる業というところもあるだろうが、実際にプレイして初めてわかる快適さという感じ。フィールドが変わるたびに切り替わる音楽のフェードインフェードアウトも素晴らしい。

●アクション
 □のスピードアタック(弱攻撃)と△のヘビーアタック(強攻撃)・×のジャンプを基本に、R2の回避・L1/L2/R1のポッド操作を組み合わせる形。移動は左スティックで、十字キーはアイテム使用や装備セット/ポッドの切り替えに使用する。
 正直言って使用するボタン数がかなり多く、R1押しっぱなしで射撃しつつスティックで移動、□△で攻撃しつつR2で回避と、特にポッド操作との組み合わせはなかなか鬼畜な操作を要求される。難易度EASYだとポッド射撃が自動になるので、こちらにするかポッド射撃をあまり使わないように進むか…。R1を押しながらR2がちょっと辛いかも。これは人によるのかもしれないが。

 前作(レプリカント)が30fpsでちょっともっさりぎみだったところから考えると、今作のレスポンスの良さはとにかく際立つ。もともとこの手のアクションに定評のあるプラチナゲームズだとは言えこの操作感の良さは特筆もの。PS4のアクションをやりこんだわけではないので、これよりいいゲームももしかしたらいくつかあるもかもしれないが。

 使うボタンが多くて忙しい操作を要求される敷居の高いゲームだと認識しがちだが、これがまたプレイしていくとサクッと慣れていくもの。いつまでたってもすべての操作に慣れないゲームも数多くある中、いい着地点だったのではないだろうか。

●難易度
 とりあえず難易度NORMALの話になるが、一部サブクエストに出てくる敵が強かったりはするものの、ストーリー通りに進めているうちはそこまで難しい場面はない。序盤から回復アイテムが安価で買えてしまう上99個までストックできるので、ほぼ回復アイテムのごり押しで何とかなってしまうというのも一因にある。
 これが難易度HARDになると受けるダメージが3倍になるので、かなり緊張感のあるプレイが可能になるだろうが。

●カスタム要素
 アンドロイドのOSに組み込む「プラグイン・チップ」システムがある。攻撃力アップや移動スピードアップなどの基本能力アップのほか、釣魚可能場所表示・ダメージ吸収・アイテムドロップ率アップなどその種類は多岐に渡り、後半はあるとないとでは大きく難易度が変わる。プラグインチップにはそれぞれレベル設定もあり、合成することでレベルを上げて効果を増幅させることもできる。
 オートHP回復や攻撃時HP回復など、一部能力はちょっとチートすぎる感もあるが。

●音楽
 前作同様岡部啓一氏が担当。今回は全ての曲がボーカル入りになっており、エミ・エヴァンスさんのほかにジュニーク・ニコールさん、中川奈美さん・河野満里奈さん(エンディングソング担当)が加わった。一つの音楽に対して複数のバージョンを用意するのも前作から引き続きで、プレイヤーの移動に伴ってシームレスに曲が変化していく。
 全部いい曲だが、特に上げるとすると、場所とのマッチングがやばいレベルで一致する「遊園施設」(遊園地廃墟の曲)と「森ノ王国」(森林地帯)、あと「複製サレタ街」(複製された街)あたりかな。あと戦闘中心に流れるインパクト十分な「生マレ出ヅル意思」も良い。
 パスカルの村はかわいらしい子供の声が入る音楽になっているが、MONACA(今作の音楽担当クリエイター集団)スタッフの娘さんらしい。子供に架空言語歌わせるってなかなか難度の高い作業だったのではないだろうか。

●総評
 幅広い難易度設定・高品質なグラフィックと操作感・サブイベを含めた素晴らしいストーリー。前作の難点もほぼ解消、ライトからヘビーユーザーまでだれでも楽しめる至高の作品。ぜひプレイするべき。
 全然関係ないけど、2B・A2が美人でいいですねえ。どのカットを切り取っても美しい。