[Data]
ハード:Playstation Portable
メーカー:コンパイルハート/Sonnori
発売日:2006.09.28
ジャンル:RPG
実勢価格:300~500円(中古価格)

評価:

アストニシア ストーリー

●プロローグ
 アストニシア…… 世紀1083年、アシリア大陸で大きなクーデターが起こった。そのクーデターによって誕生した帝国、それがラテイン帝国である。新興の帝国ながらも、独自の手段で商業力と軍事力の強化に努めたこの帝国は、いつしかアシリア大陸全土にその影響力を与える巨大国家へと成長していた。

 そんな中、ラテイン帝国パルミラの騎士であるロイドは指揮官レンスとともに王家の宝であるカイナンの杖の輸送任務を命じられる。しかし、輸送途中、突然の襲撃により、レンスもその部下もやられ、ロイドが気がついた時には、杖も持ち去られた後であった…。

 一人生き残ったロイドは騎士の責務を果たすため、襲撃者のマントに描かれていた“グリフォンの紋章”を唯一の手がかりとして、杖を探す旅に出るのであった…。

●概要
 現在は「ネプテューヌシリーズ」など比較的萌え系のゲームに特化している感のあるコンパイルハート、その設立後初めて世に送り出されたゲームソフトがこのアストニシア ストーリー。とは言ってももともとは韓国のSONNORIというメーカーが1994年に発売した同名ゲームの日本語ローカライズ。日本版発売に際してはオープニングムービーと主題歌が用意された。

 古臭い感じも漂うオーソドックスな西洋ファンタジー世界観のRPGで、戦闘はマップを移動して戦うシミュレーション形式になっている。韓国ではこの作品が「韓国のドラクエ」と呼ばれるほど有名だ、という話だが…

●ストーリー
 プロローグの通り、主人公ロイドは、輸送中に襲撃され奪われてしまったカイナンの杖を取り戻すべく、単身襲撃者の行方を追う。最後まで大方ブレなく進むのだが、世界設定が散らかっていて全く収拾がついておらず、本編に関係あるのかないのかわからない地域や人物などの単語がそこら辺中に登場、風呂敷広げただけ感が半端ない。
 次はここへ行って、というわかりやすい指標はほとんどなくイベントが終わったらほぼ投げっぱなしになるため、とりあえず外に出て次の街を探して入ってみる、みたいな行動を要求されることが多い。ファミコンのRPGをプレイしている感覚に近いかも。

 あと、後半に3つの「オーニックス」というアイテムを集めることになるが、イベント会話内でサラっと場所のヒントがあるだけでストーリー中で追わせることはなく、何よりダンジョン内の普通の宝箱に入っているという扱いにも驚き。超重要アイテムじゃなかったっけ?
 あとはあれか、街の後ろにある洞窟に入りたいけど入り方がわからずしばらくさ迷っていたら、実は村長の家の1階右側に地下に降りる階段があって、そこから裏手に出ることが出来たというパターンもあったな。偶然発見したからいいものの、階段らしきグラフィックもないし誰もヒントすらくれないし、なかなかのひどさでしたよ。

●日本語ローカライズの出来の悪さ
 日本語ローカライズなので当然韓国語から日本語に訳した文章のはずだが、その訳したはずの文章がとんでもなく固く、「~ですよ」「~でしょうか」「ありません」などなど、最初から最後までそのまんま翻訳文を見せられているかのようなセリフ回しが続く。声がついているわけでもないのに、文章見てるだけで棒読みにしか見えない、と言えば伝わるだろうか。
 途中パーティキャラ同士の恋愛話に発展したりもするが、このセリフ回しでは伝わるものも伝わらないだろう…。

●グラフィック・音楽
 SFC後期~PS初期くらいのドットグラフィックRPGがこんな感じだったかと。一部イベント時のキャラの動きはなかなかのものがあるが、全体的にRPGツクールを見てるような感覚になる。作りこみ自体はなかなか高い水準かとは思うんだけどね。
 音楽もそれほど特筆するところはない。フィールド音楽は最終盤以外全部同じだし、ショップ音楽は軽快だけどこれまたRPGツクールのデフォルト音楽みたいに聞こえるし…

●シミュレーション戦闘
 前半はいいとして、終盤の難易度高騰がひどい。レベルアップが遅くて武器防具もそこまで入れ替わらないのに敵だけどんどん強くなる。シミュレーションなので当然移動なども入るため1回にかかる戦闘時間は通常のRPGに比べて長いのだが、敵が強くてなおさら時間がかかるし、何なら終盤にはほぼ逃走不可+通常攻撃以外ほぼ効かないという嫌がらせのような敵までいる始末。

●総評
 細かいところを上げるときりがないが、ロードする場面が多くてロード時間もそこそこ長いとか、普通に進めると大体10時間ちょっとくらいでクリアできてしまうボリュームのなさとか。とりあえず、おススメできる作品では決してないということだけは確か。パッケージが正当派ファンタジーで面白そうに見えるんだよねこれ…

 全然関係ないけど、SIE公式ソフトカタログによる紹介ページには「アストニシアストーー」と脱力する紹介文が書かれていて、しかも発売から12年経った今でも直っていない(2018年12月現在。下画像右側参照)。
 そもそも「使用されるコマンドが戦闘中、移動中ともに限られているため、RPG初心者でも気軽にプレイできる!」って、これメリットなのか?頑張ってメリットひねり出した感ありますよね…。戦闘バランスが明らかに初心者向けじゃないけど。