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ハード:Playstation Portable
メーカー:タイトー
発売日:2005.12.15
ジャンル:アクションパズル
実勢価格:800~1,000円(中古価格)

評価:★★★

 

EXIT

 現スクウェア・エニックス傘下の老舗ゲームメーカー、タイトーが送り出した脱出アクションパズルゲーム。「Mr.ESC(ミスター・エスケープ)」を操り、ステージ上に数々あるギミックやアイテムを有効に使いながら、建物内に取り残された遭難者を誘導して出口まで導くのが目的となる。

 グラフィックにまず大きな特徴があり、主人公のMr.ESCを始め、登場するキャラクターは全て白黒を基調としたカラーリングとなっている。建物などのフィールドも全体的にコミック調の特徴的なグラフィックとなっていて、これがなかなか見やすい。

 基本はMr.ESC自身でアイテムを取って進んでいくのだが、場所によっては遭難者にアイテムを使ってもらったり、狭くて進めない通路をキッズ(子供)に進んでもらったり…と、遭難者をうまく使って進むような場面もあり、順番等々含めてかなり頭を使う。すぐにやり直しが効くので、何度も試行錯誤してやり直ししつつクリアしていくタイプのゲームかと思う。

 基本操作は、スティックでポインタが登場、ポインタを動かすことで周りを見渡すことができ、△で同行者への指示出しを行う。Lボタンで全員待機か全員Mr.ESCの後を追尾かを選ぶ。×でジャンプ・□でアイテム利用、○でドアを開ける・物を押すなど。Rがダッシュ。
 基本操作だけでほぼ全てのボタンを使うという仕組みのため最初はかなり戸惑いやすいが、何とか慣れることの出来るレベルではないかと思う。ただ同行者関連の操作に関しては、Mr.ESCのアイテム利用は□だが同行者のアイテム利用が△のため、咄嗟にやろうとするとボタンを間違えたりすることはあった。

 遭難者には、狭い場所や重さ制限のある場所でも通れる「キッズ」・基本の段差等は自力で超えられる一般の大人「ヤング」・重いが力持ちの「アダルト」・自力では動けない重傷者の「ペイシェント」の5種類あり、他に同じタイトーから2001年に発売されたゲーム「うちゅ~じんってなぁに?」のキャラクター「うちゅ~じん」が登場する。うちゅ~じんってかなりマイナーだと思うが良く出したな。
 遭難者にはそれぞれアイテムを持たせたり使わせたりすることも出来る。Mr.ESC自身を違うギミックに進ませて遭難者に別の場所でアイテム使用を頼んだり、アイテムを後で受け取って使ったりとさまざまな使い方が出来る。

 アイテムは、主に火を消す「消火器」・「鍵」・岩を壊せる「ツルハシ」・暗いステージを照らす「懐中電灯」など。このアイテムを誰に使わせるか、というのもクリアに大きく関わってくる。

 Mr.ESCの動きには独特のクセがある。自分がこのゲームでイメージしたのは昔の「プリンス・オブ・ペルシャ」みたいな感じだったのだが、ちょっともっさり気味の動きと言うか、ボタンを押してから行動に移るまでワンテンポがあるイメージ。
 操作性の悪さと紙一重ではあるのだが、今作に限って考えると、これは操作性が悪いわけではなくて”意図的に”というところだろう。Mr.ESC自体プロの仕事をする人物ではあるが、スーパーヒーローでもなければ特殊能力が使えるわけでもない。要は「場慣れした一般人」であり(公式でもヤングとほぼ同じ能力と言う設定になっている)、このあたりは仕様として納得できる部分ではある。

 惜しいのは、「アクションを要求されすぎる」ように思えること。特に問題なのが「ダッシュジャンプ」の存在。解く順番を間違えてやり直しになるのならわかるが、なまじダッシュジャンプをつけたばかりにそれを必要とする場面が多すぎ、独特の動きのクセと相まって「ダッシュジャンプで失敗してやり直す」ということが多すぎるように感じる。
 これがアクションゲームです、ならば自身の腕で何とかしろ、と突き放すことも出来る。ただ、このゲームはどちらかと言うと遭難者やアイテムの拾い方&使い方・箱の動かし方など含めて「脱出までのロジックを組み立てる」パズル要素が強く、手順をひとつ間違えるとやり直しになるようなステージも多い。そんな中で”ジャンプに失敗、落下してやり直し”になったりするような場面が多々あると、それだけでやる気を削がれてしまう。

 ダッシュジャンプをこれだけ使うのならばもっとアクションに振った作りをすべきだったと思うし、今作のようにパズルに重きを置いた作りをするのであれば、ダッシュジャンプ自体を入れるべきではなかった。せめてアイテムにして使える場所を限定するべきだったのではないだろうか。

 パズル部分については秀逸で、時間制限のある中でロジックを考えていくのは楽しい。ここがいい出来なだけに、アクションとのバランスがもうちょっと良ければ。