[Data]
ハード:Playstation Portable
メーカー:バンダイ/マイクロビジョン
発売日:2004.12.16
ジャンル:RPG
実勢価格:500~700円(中古価格)

評価:★★★

[Review]2015.09.19

英雄伝説 ガガーブトリロジー 白き魔女

 ティラスイール各地に点在するシャリネ。そこに古来より伝わる魔法の鏡は、見る人の人生に深く関わる様々な光景を映し出すと言われる。古来より村々では、銀の短剣を携え少年少女がシャリネを巡礼する「成人の儀式」が行われていたが、その習慣も廃れ、巡礼を行う人々も減っていった。
 そんな中、フォルティア国の山間にある小さな村・ラグピックに住む少年ジュリオと幼馴染の少女クリスは、村から5年ぶりに出た巡礼者として、各地を回る旅に出ることに。彼らの瞳に、鏡は何を映し出すのか…

 日本ファルコムのRPG・英雄伝説シリーズの第2期「ガガーブトリロジー」シリーズ第1作『英雄伝説III 白き魔女』のPSP移植版。最初の作品は1994年にPC-98用としてリリースされたもので、そこからSS・PS・Windows・携帯と移植を重ね、10年後でのPSP移植へと繋がった。PSP本体発売の4日後にリリースされたタイトルであり、PSPとして初のRPG作品でもある。
  Windows版以外の移植タイトルに関しては「ライセンス提供」という形で他社制作・発売の形が取られており、このPSP版では発売をバンダイ、制作をPS時代から開発で多数のタイトルに関わるマイクロビジョンが担当している。

 シリーズ通じて共通なのは、「ガガーブ」と呼ばれる巨大な大地の裂け目と「大蛇の背骨」と呼ばれる大きな山脈地帯によって隔絶された3つの世界が舞台となっていること、ガガーブ誕生を起点とした共通暦「ガガーブ暦」が導入されていること。今回はガガーブの東側に位置する「ティアスイール」が舞台となる。

 ファルコムが得意とする正統派ファンタジーRPG。ジュリオとクリスは巡礼の旅の中で、白き魔女と呼ばれた一人の少女の軌跡を追っていくこととなる。全体的な雰囲気の良さはさすがと言ったところで、この手の世界観を作りこなれてる空気すら感じる。
 ちょっとおとなしいが芯を持つ少年と強気でおてんばな少女というベタな2名をメインに据え、出てくるキャラクターが基本いい人だらけ。終盤かなり重たいテーマになってくる作品だが、根っからの悪人という登場人物がほぼいないので重たさを感じさせない。あんまり気構えずにプレイできる作品のように思う。
 ストーリーは章仕立てで、序章・1~7章・終章と全9つの章に分かれている。間にムービーが挟まったりはあるものの、そこまで章仕立てにする必要性は感じない。ストーリーを理解しやすいかもしれない、くらいか。
 当時ストーリーは大絶賛だったらしいが、各地を巡ることによる2人の成長物語と世界の危機が違和感なくリンクしていて、中だるみや置いてけぼり感が非常に少ない作品のように感じた。

 フィールドなどの基本部分についてだが、一般的な見下ろし視点で特筆すべきところはない。人物以外の障害物に当たると自動で避ける動きをするのが特徴だが、カウンター越しに話しかけたいのにうまく止まれないなど、どこででも避けに行くことが逆効果になっているところもある。ここについてはオンオフが欲しかったところだ。
 各地に案内看板が点在しているほか、ダンジョンと呼ばれるものも最終盤以外ほとんど存在しないので、基本道に迷うということはないに等しい。一部を除き宝箱などの拾得アイテムもないので、探索というところはほぼ望めない作品ではある。

 戦闘はシンボルエンカウントで、敵とのレベル差によってプレイヤーに向かってくる敵と離れていく敵に分かれる仕組み。戦闘自体はほぼセミオートの戦闘で、キャラクターそれぞれに「攻撃」か「待機」かを選択、あとはキャラが攻撃するのを見てるだけ。攻撃を加えることで溜まる「POWER」ゲージを使用することで強力な必殺技を繰り出すことができる。魔法や召喚(ジュリオのみ)・アイテムはキャラクターを選択して発動する形で、魔法は詠唱時間が異なっている。
 こちらが出来ることはほとんど魔法を発動するだけなので楽と言えば楽だが、敵の魔法攻撃が1人に集中する傾向があり、あまりに放っておくとやられてしまうこともあるのでそこだけは注意か。難易度としてはかなり簡単な部類だ。

 難点を挙げるとすると、ここもやはり魔法の部分になる。まず、オートターゲットがなく、ターゲットが倒れた場合に自動で変更せずそのまま終了になってしまい、改めてコマンド選択からを要求される点。攻撃を受けた時だと思うが、なぜか詠唱が途中でキャンセルされているときもあり(これは必殺技でも起こる)、これもやっぱりコマンド選択からやり直し。
 戦闘設定で「待機」を選ぶとそのキャラは本当に待機するだけで何もしないという状態になり、これまたいちいちキャラごとにコマンド選択→魔法発動を繰り返す必要があるのも面倒で、HPが減った時は回復…とか、待機時は設定した魔法で自動攻撃する…みたいな大まかな自動設定メニューがあっても良かったのではないだろうか。

 セーブがどこででもできるというところは難易度低下に一役買っている+PSPらしい部分。戦闘開始時などのロードが気にはなったものの全体的にテンポ良く進める作品ではあるが、戦闘部分については微妙な点がちらほら見られる内容だった。かなりPSPオリジナルの要素が含まれているとのことなので、元作品はもっと違った形なんだろうか?