[Data]
ハード:Playstation Portable
メーカー:ナムコ
発売日:2004.12.12
ジャンル:レース
実勢価格:300~500円(中古価格)

評価:★★★★☆

[Review] 2016.05.08

リッジレーサーズ

●概要
  「リッジレーサーの同窓会」をコンセプトに、「リッジレーサー」「リッジレーサーレボリューション」「レイジレーサー」「R4」「リッジレーサーV」+アーケード「レイブレーサー」のコースを新たに描き直されたグラフィックで収録した、PSPでの初リッジシリーズ。
 PSP発売と同時にリリースされたローンチタイトルソフトのうちの1つで、これでPS・PS2・PSPと3代に渡ってローンチタイトルにリッジレーサーシリーズが並ぶこととなった(この後PS3・PSVitaまで続く)。携帯機でのリッジレーサーシリーズは初…と思ったら、海外ではNintendo DS向けに「Ridge Racer DS」という作品が出ていたらしく、2作目となるようだ。

●ゲームメニュー
 メニューは、様々な連戦ツアーを走るメインモード「WORLD TOUR」、コースを選んでCPUと対戦する「SINGLE RACE」、プレイヤーのみの走行でタイムを追求する「TIME ATTACK」、無線アドホックモードを使った最大8人の対戦が可能な「WIRELESS BATTLE」の4つ。
 メインとなる「WORLD TOUR」では、車のクラス(主に最高速度)に分かれた2戦~最大6戦の連戦ツアーを戦い、ツアー最終戦を1位でクリアすることで新しい車がもらえたり、様々なプライズ(過去作のムービーなど)がもらえたりする。
 携帯機らしいというところか、分数を選択するとそれに合わせて自動で連戦を組んでくれる「おまかせツアー」というモードもあるが、短いプレイならSINGLE RACEを選べばいいような気がして、いまいち必要性がわからなかった。せめておまかせツアーに何かプライズプレゼントがあれば違ったとも思うんだが。

 車のクラス分けがそのまま難易度設定になっているようなのだが、デビル&エンジェルカーとの対決ツアーを除くと1位を取るのはそう難しくなく、高難度を求める方にはちょっと不満かもしれない。
 その他、下位の敵車が突然目の前でブレーキを踏みだす・敵車を抜こうとした瞬間コース幅関係なしに敵車ニトロ発動…などの謎の動きが鬱陶しく、文句というほどではないがちょっと気になるところではあった。

●新要素「ニトロ」
 発動することで一時的に急加速を実現させる「ニトロ」が新しく採用された。最大3つまでストックでき、ドリフトによってゲージを溜めてRボタンで発動。高速でドリフトするほどゲージが溜まりやすくなっている。ニトロ使用中はゲージが溜まらないが、ニトロの効果が切れた瞬間からゲージが溜まるようになるので、ニトロ終了直後のドリフトで高速チャージする通称「アルティメットチャージ」が誕生した。このアルティメットチャージ、上手く行くと1回のドリフトでニトロほぼ1ゲージ分が溜まる(かなり難しいが)。
 こういう要素は、バランスを間違えると”これだけ”になってしまう(所謂バランスブレイカーになりかねない)ところがあるが、急加速具合・発動時間・ゲージの溜まり方、どれを取っても相当バランス調整したなと思わせてくれる内容で、使いどころをプレイヤーにしっかり委ねさせてくれるあたりがさすが。

●コースBGM
 コースは全12コースで、全コースに逆走コースがあるので実質24コースとなっており、過去作からそれぞれ2つづつのコースがリファインされて登場している(初代とリッジVは共通)。
 過去作のコースをほぼそのまま収録なので仕方ないところではあるが、新コースは2つでレイブのコースと一部共有なので目新しいコースはほとんどないに等しく、完全オリジナルが1つ2つあっても良かったかなという気はする。

 BGMは新曲が入った「RED DISC」「BLUE DISC」・過去作のリミックスを収録した「REMIX DISC」・過去作からの再収録「CLASSIC DISC1/2」の仮想ディスク5枚×6曲という構成。新曲では大久保博氏・細江慎治氏・佐宗綾子氏・佐野信義氏をはじめとした過去作の作曲陣が集結した。今回もさすがの良曲揃いだが、「Tek Trek」が今回のお気に入り。

 「CLASSIC DISC」は、リッジ・リッジ2・レイブ・レイジから1曲、リッジVから3曲・R4は5曲収録とかなり偏っており、R4の曲評価が高いとはいえもう少し平等にしてほしかったのが正直なところ。初代はまだREMIXで出てくるのでいいが、レイジは…いい曲多いと思うんですけど…

●やっと戻ってきた?さすがの爽快感
 一時期採用されていたグリップタイプ・ドリフトタイプという車区分がなくなり、3つのドリフトタイプ(マイルド・スタンダード・ダイナミック)を選ぶ形に変わった。ニトロが加わったからということもあるのだろうが、完全にドリフトをメインにした選び方に変わっていて、今作の目指したところがわかるというもの。
 従来作品と比べるとどのタイプを選んでもドリフトがしやすくなっていて、曲がりやすくてドリフトも制動が効きやすいマイルドが難易度としては一番簡単。とは言え、ダイナミックでもそんなに苦労はしないと思う。
 今までだとドリフトタイプのほうが最終的には速いみたいな感じだったと思うが、今作に関してはドリフトの終了が早く調整の効きやすいマイルドが一番早いのでは?という気がする(ドリフトの時間が長いダイナミックのほうがニトロが溜まりやすいというのはあるが、ドリフト時の速度によっても溜まりやすさが変わるので、結果マイルドとの差をあまり感じなかった)。

 レイジはドリフト後のスピードダウンに苦労し、R4は地味なドリフト&グリップタイプが強すぎて…と、ドリフトゴリゴリという形からはちょっと離れていたような感があったので、今作の「理屈は抜きにしてとにかくドリフト」という感覚は懐かしくもあり、爽快感があって楽しい。

●総評
  ボリュームもまずまず、ローンチとは思えない高いグラフィック、もとからの爽快感にニトロを加えた新しいリッジ感。新世代リッジのスタートとしてはこれ以上ないほど高い完成度を誇る作品。リッジファンならプレイするしかないでしょう。