[Data]
ハード:Playstation Portable
メーカー:コナミ/アクティビジョン
発売日:2006.03.23
ジャンル:アクションRPG
実勢価格:500~1,000円(中古価格)

評価:★★★

[Review] 2019.10.22

アントールドレジェンド ウナタカの勇剣

●プロローグ
 アヴェンの街は祭りの華やかな雰囲気に包まれていた。伝統的な王の祭りの準備が整う。今日は2000年という歴史を持つ街の建国記念日なのだ。毎年この日には、純粋無垢な心の持ち主が1名、維年の倫理、道徳、正義の守り手として選出されることになっている。新しい王が選出されるのだ。
 人々は町の広場に集まり、愛国心に声や心を高ぶらせながら、壇上の若い男女に賞賛のまなざしを向けていた。その女性も同胞市民に明るい笑顔を振りまいていた。アヴェンの儀式の冠はアカデミーの民生委員リゼッタの頭上にあった。
 この年、長い歴史を持つアヴェンの王として選出されたのはケイリーだった。ケイリーはアカデミーの優秀な実習生で、だれよりも愛されていた。王の戴冠式は怒涛のように沸き起こる歓喜の中、終わった。今度は守護者を選出するトーナメントが始まる…

 一日の終わりも近づき、アヴェンの人々はハウリングパインという宿屋に集まっていた。何樽ものビールと無数のワインが惜しみなく振る舞われ、厨房からは暖かい料理が次々と出てきた。君は最後に宿屋の入り口をくぐる。トーナメント戦のおかげで衣服や鎧は汗にまみれ、ぼろぼろになっていた。
 「王万歳!守護者万歳!」中に入ると、総立ちの歓声に迎えられた。アヴェンでは、ニュースはたちまち広まる。そう、君は数分前に終わったばかりのトーナメントの優勝者だ。
 その晩は、宿屋に特別に用意された部屋で眠った。王の守護者の任期中はここで生活することになる。ごちそうに腹をふくらませて、倒れこむように床についた。すぐに眠りが訪れ、夢が続いた…

●概要
 アクティビジョンが北米PSP向けのローンチタイトルとして発売したアクションRPG「Untold Legends:Brotherfood of the Blade」の日本版。国内ではコナミが発売を担当。
  若干手前からのほぼ見下ろし視点で操作するアクションRPGで、最初に4つのクラス(職業)から1つを選択。クラスによって異なる○ボタンの攻撃と×・△のスキル/魔法を活用し、迫ってくる敵を倒しながら未知の地域やダンジョンを攻略してゆく。

 同じ見下ろしタイプで有名なこの手のゲーム…いわゆるハックアンドスラッシュ系のゲームに「ディアブロ」があるが、おそらく似たようなタイプのゲームなんだろうと思われる。というのもディアブロの画面を見たことがあるだけで未プレイなもので…

●テンポ良い展開
 指名された場所に行き、迫ってくる敵をどんどん倒しアイテムを手に入れ、奥深く進む。途中のストーリーなどはほとんどなく、悪く言えば味気ないと言えるのかもしれないが、ハマる人にはドハマりするようなゲーム性を持っているタイプの作品。ハクスラ好きにはたまらない作品と言えるのかも。
 ダンジョン内では、ボスと対峙しているとき以外いつでもアヴェンの街にひとっ飛びで帰ることが出来、しかも元の場所にすぐに戻って来られる仕様となっている。アイテムの持ち物制限(重さ制限)があってもそれほど気にならず、アイテムがいっぱいになったらいったん帰って売って金に変えてまた元の場所に戻って探索再開…というサイクルが鉄板となる。

 探索することに対して邪魔が少ないというか、街へ戻るにも何にしてもとにかくテンポ良くサクサク進めることが出来る。気付けば街とダンジョンを往復するのがルーティンになっていて、かなりの時間プレイしていた…となるわけだ。

 操作自体もほぼ方向キーと○・×・△、あとR+×のガードくらいで済むのでそれほど難しくなく、すぐ慣れる。×がガードとスキル/魔法共用になっているのでたまにガードしているつもりでスキル連発になることはあるが、まあ許容範囲だろう。
 体力や精神力は一定時間ごとに回復していくので、慎重に進めば回復アイテムに頼らず進むことが出来るのも面白い要素だ。

●ツリーによるスキル習得
 敵を倒してレベルが上がると貰えるポイントを使ってスキルを付与させたり、スキルのレベルを上げたりできるようになる。スキルを覚えるとツリーに連なった次のスキルが覚えられるようになる…といったもので、目新しさはないものの見ただけですぐにわかる簡単さがウリ。
 自分はアルケミストで一通りプレイしたが、最初から覚えている「毒雲」のスキルが強力。当たると周囲に毒雲をまき散らし、巻き込んだ敵に継続ダメージを与えるスキルだが、スキルレベルを上げていくと多数の敵を一網打尽にできるほどの威力に。最終盤までこれをメインに盾でガードしながら剣で追撃、でほぼ対処できる。

●豊富な武器防具と追加効果付与/レベル制限に不満
 この手の作品では当然と言える要素だが、武器防具はかなり豊富に種類が用意されている。同じ武器防具でも頭につく言葉で能力値や追加効果が変動するなどしており、新しいものを見つける楽しさはさすがの作りと言ったところ。追加効果や能力値アップを付与できるアイテムもいくつか手に入るので、多少カスタマイズ的なことも可能。

 疑問だったのは、レベル制限のある武器防具がかなり多いという点。レベル20の時点でレベル24から装着できる武器防具が手に入ったりということがかなりの頻度で発生するのだが、アイテムを一時的に預けておく倉庫的なシステムがないので、レベルが所定のレベルになるまで持ち物を圧迫させ続けるか、その場で売り払うかしか選択肢がなくなる。
 倉庫もそうだけど、例えばアイテム図鑑的な収集要素もあればもっと良かったかもなあ、とは思う。アイテムがこれだけたくさん手に入るのに、大半売るだけのための存在になっちゃってるからね…

●少々不親切なマップ
 ダンジョン内のマップは右上に表示するか画面中央に大きく表示するかを選択できるのだが、方角表示がないのがネック。ダンジョンごとの行き来の際になぜか画面が勝手に回転する仕様なのですぐ方角がわからなくなる。先に書いた街⇔ダンジョンの行き来の時まで回転している始末で、戻ってきたときにどっちから来たのかわからなくなるようなことが多々発生する。
 マップ表示も狭くて全体表示があっても良かったかなという気もするが、そこまでユーザーフレンドリーじゃなくてもいいんで、せめてN表示だけでもあれば。

●よくわからないストーリー展開と街の人々
 元々のゲームの作りはもちろん、これは日本語ローカライズの問題も大きいんだと思うけど、ローカライズだなあと思わせる固いセリフと住民の人使いの粗さが印象的。守護者として選ばれたんだから街の危機に立ち向かうのは当然と言わんばかりに「●●を倒してくれ」「●●に行ってくれ」「●●からアイテムを持ち帰ってくれ」などのお使い任務が次々と飛び込んでくる。
 いろいろ切羽詰まっている状況なんだろうが、説明もほぼないまま新しい部族や新しい地域が次々と登場してさっさと迎えみたいな感じで進行するので、結局のところ何が原因でこういう状況になったのか整理できないまま、最終目的が登場することになる。ストーリーは正直あってないようなものなので、ストーリーや展開重視を期待している方にはそもそも向かない作品。

  登場人物も頼みごとをしてくるだけの一般住民かと思いきや、全員曲者揃い。至るところに斥候を用意する謎の力を所持し、部族対立を扇動して暴動を起こさせるというトンデモ計画を主導するマダム・ダイアナが一番凄い、というか謎の立ち位置。

●総評
 海外産らしい淡々とした進行とハクスラの黙々と敵を倒し進む感覚がうまくマッチし、没頭する感覚を味わいやすい作りなのはポイント高い部分。いくつか不親切な部分があるのは惜しいところだが。