[Data]
ハード:Super famicom
メーカー:タイトー
発売日:1991.03.29
ジャンルシューティング
実勢価格:300~800円(中古価格)

[Data2]
ハード:Wii[Virtual Console]
配信日:2010.04.13
配信価格:800Wiiポイント

評価:★★

[Review] 2012.05.16

ダライアスツイン

 魚介類をモチーフとした敵戦艦などで有名なタイトーのシューティングゲームシリーズ「ダライアス」のSFC第1弾作品。タイトルの「ツイン」とは「2Pプレイ」を意味し、当時のダライアス作品では唯一の2人同時プレイを実現したことからこの名前がついている。

 ダライアスシリーズの特徴である、分岐していくゾーンセレクトの要素はそのままに、SFCユーザー向けのライトなシューティングとして作成されたと思われる。ダライアスシリーズでは珍しく、撃墜されてもその場で復活する方式を採用しており、しかもパワーアップしたショットもそのまま継続される。
 ステージについては、分岐はするのだが最終的にはすべてゾーンLに行き着くという構成になっており、合計でA~Lまでの12ステージと少ない。分岐の仕方等によってはエンディングの内容が変わるようになっている。ボスを倒さないで逃がすというのもポイントになるが、これがなかなか難しい。(撤退するまでにかなりの時間を要するため、持久戦になる)

 8段階にパワーアップするメインショット(前方向)と斜め方向のサブショットの2つを使って進んでいく。メインショットは広範囲の攻撃ができる(レベルが上がると弾の一つ一つが大きくなる)「ナパームショット」と、障害物や敵を貫通する「ウェーブショット」の2種類で、ゲームスタート時はナパームショットになっている。道中で2回だけ登場する赤いチェンジカプセルを取ることで、ナパーム⇔ウェーブの切り替えができるというもの。
 このゲーム最大の難点がこの2種類のショットにある。何が問題かって、ナパームショットがあまりに弱すぎるのだ。公式解説上ではナパームショットは”広範囲の攻撃が出来る”はずなのだが、ウェーブショットもレベルを最大(8)に上げてしまえばほぼ同じ範囲の弾を飛ばせてしまう上、ナパームショットは障害物を貫通しないために、広範囲の攻撃(弾が大きい)=障害物や敵に邪魔されやすい となってしまい、ステージによってはほぼ役立たずになることすらある。(ゾーンD・J・K・Lあたりが該当しそう)広範囲攻撃を特徴にするなら、せめて2WAY・3WAYにするとかしないといけなかったのでは…
 とどめには”ウェーブショットのほうが攻撃力が高い”と来ており、これだけの能力差をつけられたナパームショットはいったい何のためにあるのか?という。縛りプレイのためだけに存在するような状態。

 ナパーム⇔ウェーブの切り替えが出来る「チェンジカプセル」はゾーンDで1つ・そしてゾーンJ・K(ラストステージのひとつ前)に1つ配置されている。ゾーンDでウェーブに変えるのがほぼ必須として、ゾーンJ・Kは斜めスクロールに障害物が多数配置される変則ステージで、カプセルが障害物に隠れて見難い。ここで誤ってチェンジカプセルを取ってしまうと、ゾーンの残り+ゾーンLをナパームで挑まなければならなくなり、ほぼ詰み状態になる。狙った配置かもしれないが。

 そのラストステージ「ゾーンL」。ここは今までに登場したステージ中の中ボスが何十体と登場する「中ボス乱舞」ステージとなっているのだが、その出方が半端ではなく、このゲームの難度を一気に引き上げている。
 中ボスと言えどもキャラクターの大きさがそこそこある中、画面上に3体~4体一気に出てくるときもあり(ここでナパームで来ると貫通できないので1体1体を相手にせざるを得なくなってほぼ詰む)、しかもARM(シールド)をつけていたところで攻撃を食らったらほぼ一撃死する。その場で即復活したところでARMはすでにないので敵弾1発でまた撃墜…と、1回やられると連鎖的にやられてしまい、ここで残機を一気に使い果たすプレイヤーも多かったことだろう。自分もです。

 ここまで苦労して辿り着いたゾーンLのボス(2体)は、あまりに弱すぎて拍子抜け。ボスは全体的に弱いが。(ステージHのRED MIST:タコモチーフのヤツだけそこそこ強い。耐久力はないが攻撃が厄介なので)

 残機数は通常時で3、ゲームスタート前のオプションで8までは増やせるが、難易度EASYはまだしもNORMALでこの残機数はかなり厳しいと言わざるを得ない。2コンを使った裏技で残機を50まで増やせる裏技があったが、この裏技を使ってまずはクリアしてみて…というくらいのバランスのように思う。

 とにかく全体的に大雑把な感じ。ハイパーグレートシングの音楽をはじめ、音楽はこの時期を考えれば充分高水準で、グラフィックも上々・システム等々含めて一定のレベルはクリアしているゲームだとは思うのだが、ボリューム感のなさなども含めてもうちょっと何とか出来たのでは?という感想も持ってしまう。発売時期的に、評価の高かった「グラディウスIII」とどうしても比べられてしまった一面があり、内容以上の低評価をくらってしまった作品だったと記憶しているが、 せめてもう少しボリュームがあれば違ったかもしれないな、と。

 まったくの余談だが、サブショットのレベル7から出てくる玉のような武器を「元気玉」「超元気玉」と呼んで親しんでいたのはいい思い出。