英雄伝説 零の軌跡 Evolution
●概要(ストーリーはPSP版レビューを参照)
2011年にPSPで発売された日本ファルコムのRPG「英雄伝説 軌跡シリーズ」の1作「零の軌跡」をPSVitaへ移植し、追加要素を加えた作品。Vitaでは軌跡Evolutionシリーズとして、この後「碧の軌跡」「空の軌跡FC」「空の軌跡SC」「空の軌跡 the 3rd」と軌跡シリーズが立て続けにリリースされることとなる。
●グラフィックの向上
PSPからPSVitaへとハードが変わったことで、全体のグラフィック水準は大きく向上している。このグラフィックだけでも十分上位機種への移植作としての価値があるだろう。キャライラストの高精細化はうれしい。
惜しい点も。まず、一部遠景が高画質化に対応しきれなかったのかガキガキのまま残されてしまっている。よりによってこのガキガキの遠景が目立つ場所でクロスベルの美しい景色を語り合うイベントが発生するため、セリフとグラフィックが合わず何とも残念なことに…
もうひとつ、フォントがPSP版から変わって明朝系のフォントになったのだが、かなり見難いフォントとなってしまっている。フォントについてはバージョン更新で見やすくなったらしいのだが、更新後でもやっぱり見難い。PSP版碧の軌跡のフォントはかなり見やすかったイメージだが、統一じゃダメだったのか?
●アレンジされたBGM
BGMは全曲フルアレンジされた。全体的にかなりキレイなアレンジとなっており、「明日は明日の風が吹く」(旧市街の曲)や「聖ウルスラ医科大学」などの良アレンジもある一方、戦闘曲やクロスベル警察の曲など緊迫感や強さを消してしまうアレンジも見られ、曲によってアレンジ前がいいかアレンジ後がいいかが分かれている感じだ。
よく言われているのが銀・ガルシア戦などで流れている「Inevitable Struggle」のアレンジだが、メインメロディをサックスかな?にしてしまったものだから、聞きようによってはスーパーで流れる音楽に聞こえるなんていう評価も出たくらい。後半新しく加わったフレーズはどの曲もいい感じなんだけどね。
個人的にはクロスベル警察アレンジにちょっとがっかり。PSP版のあの緊迫感を返して…
●フルボイス化
ここが一番大きい変更点だろうか、メインのストーリー部分についてはフルボイス化を実現。これがあるだけでもイベントへの入り込み度が変わるのではないだろうかと思う。ロイドの喋りをずっと聞いているとなんかねっとり感強くて好みが分かれそうだがどうだろう…
ちなみに、メインキャラ以外もメインストーリーに絡む場合は声が当てられているのだが、Falcom Sound Team SDKの面々も参加しているらしく、こちらは残念ながら棒読みがかなり目立つ結果に。登場人物がかなり多い作品のため、全てのキャラに声優を当てるのはさすがに大変だったろうから仕方ないのかなと思わなくはないが。
●追加支援要請
Vita版でのみ発生する追加の支援要請が5つ加わった。そこまで大きい追加要素ではないが、PSP版では支援要請を少し取り逃すと捜査官ランク1stを簡単に落とすレベルでシビアだったため、1stを取りやすくする救済要素としては有能だったと言えるか。
●総評
基本部分はほとんど変わっていないのでPSP版未プレイヤーに特におすすめだが、現状中古でも3,500円オーバーの状態が続いており、価格がちょっと…。PSPプレイ済みの方には、ちょっと追加要素が少なすぎるかな。