[Data]
ハード:Playstation
メーカー:SCE/メディアビジョン
発売日:1994.12.03
ジャンル:3DアクションRPG
実勢価格:100~200円(中古価格)

評価:★★★

[Review] 2017.06.18

クライムクラッカーズ

●あらすじ+概要
 遠い未来の遥か彼方の銀河系。銀河大戦から20年、『クライムクラッカーズ』と呼ばれる賞金稼ぎが、銀河連邦政府に代わって犯罪者に対抗していた。そして今、宇宙船『ピンクドルフィン』に乗り込むエミリアたち『ドルフィンチーム』がさっそう登場!!

 PS本体と同時に発売されたいわゆる「ローンチタイトルソフト」のうちの一つで、フルポリゴンで構成された3Dフィールドを探索するFPSタイプのアクションシューティング作品。同日に発売されたソフトは、ほかにリッジレーサーTAMAなど。公式表記でのジャンル上ではPS史上初のRPGに当たるが、RPGっぽい部分は武器防具の装備くらいしかない。

 3Dフィールドによるシューティングパートとキャラクターの掛け合いがメインのストーリーパート・武器防具アイテムの購入+セーブのパートを繰り返す形で進行する。シューティングパート1つにつき「ACT」という形で分けられ、本作では全16のACTが登場。ACT終了後には一定のお金が入手でき、そのお金で装備やアイテムを買い替える。

●基本操作
 上下が移動・左右が回転・L/Rが左右への平行移動というFPS系ではよくあるパターンの操作。□で攻撃態勢に入り、その状態で十字キーを押すと照準の移動、□で攻撃。攻撃態勢の状態で○を押すと画面全体への高威力攻撃「特殊攻撃」。特殊攻撃には1ACTにつき3回までの回数制限がある(一部アイテムで回復が可能)。×で攻撃態勢の解除。
 LR同時押しで敵の攻撃を受け止める「ディフェンス」。装備品等による防御力によるが、大半の攻撃をダメージ0にすることができるので、本作攻略には必須。

 フィールド内では、エミリア・リーザ・ドランの3名をSELECTボタンで切り替えながら進む。低威力だが速射+エネルギー消費小のエミリア、高威力・連射遅・エネルギー消費大のドラン、高威力・エネルギー消費なしだが射程の短い近距離専門のリーザと特徴がはっきり分かれており、エミリア・ドランの2名は攻撃時に画面左上に表記される「GunEnergy」を消費する。このエネルギーはアイテム「バレットチャージ」(エネルギーを最大値まで回復する。非売品)によって回復が可能だ。

●ACT1さえ抜ければ…
 ステージクリアごとにショップに行くことができ、武器防具だけでなく回復アイテムも購入できる。なので、実質拾得アイテムのみでクリアしなければならないのはショップ登場前のACT1、つまり最初のステージのみ。
 まず最初の難関は最大300でスタートする「GunEnergy」だ。数だけ見ると300あれば十分では?と思うところかもしれないが、最初の敵1体を倒すのにすら20~25使うので、まともに全ての敵を相手にしているとあっという間になくなってしまう。慣れないうちは外すことも多いということを考えると、1体の敵に対して使用するエネルギー量はもっと多くなるだろう。
 じゃあ消費0のリーザで進めばいいのでは?と思うところだが、思った以上に射程が短く慣れるのに一苦労。ディフェンスしながら近づこうにも、敵弾をディフェンスで受け止めると一定距離後ろに下がるという仕様もあり、リーザの射程内に近づくのに苦戦することになる。
 ACT1で手に入るエネルギー回復アイテム「バレットチャージ」は4つあるので、すべて手に入れることが出来ればエネルギー枯渇という状態になることはほとんどないが、手に入るまでの間に枯渇することは十分考えられる。
 ディフェンスに慣れるまではダメージを食らうことも多くなるが、回復アイテムも初期所持0の状態で始まるので、ここも最初の回復アイテムを見つけるまではなかなか辛い。

 ちなみに、これが後半に進んでいくと、エネルギー最大値を50増やすアイテム「バレットパック」によってどんどんエネルギー最大値が増えていき、最終的には750まで増える。武器を順当に強くしていけばエネルギー利用量も減っていくし、バレットチャージも持ちきれないほど落ちている。回復アイテムはショップで買えばいい。
 …ということで、中盤あたりで操作に慣れたころには、ダンジョンが広いだけのヌルゲーに早変わりする。おそらく本作で一番難しいのはACT1だろうと思われ、挫折するならここかなと。

●キャラ格差
 先に書いた通り、見た目以上に射程が短く使いにくいリーザがまず不遇。道中射程を伸ばせる装備品(アクセサリー)が出てくるのだが、後半ショップに並ぶ「攻撃力50%アップアクセサリー」が強力すぎてそちらを優先したほうが明らかに強い。最終的な攻撃力は誰よりも高くなるが、何せその武器が登場するのがあまりにも遅すぎて活用する機会がないという…
 ドランは連射が遅いのが特に対ボス戦でネックになる。大半のボスは動きが早いので、エミリアの速射でガシガシ当てていくほうが良いと個人的に思う。彼は主に照準を定めやすいザコ敵殲滅用という感じだろうか。
 エミリアは本作の主人公扱いなだけあって、最終的には彼女を選べばいいか的なポジションになっている。対ボス戦はLRボタンによる平行移動を駆使して攻撃を避けながら、速射で攻撃を当てていくのが一番オーソドックスな戦い方になるのではないだろうか。

●音楽・グラフィック等
 CDDA音源らしいループなしのサウンドが初期PSだなあ、という感じ。CD-ROM2あたりも彷彿とさせる懐かしい感覚だ。曲数もそれほど多くないが1つ1つのクオリティは非常に高い。
 グラフィックもこれがPS発売同時だと考えれば相当高い水準にある。キーレスポンスも悪くなく、これだけのグラフィックをぐりぐり360度動かせるというのは、次世代機のインパクトとして非常に大きかった。TAMAも含め、3Dのデモンストレーションとしての効果は抜群だったのではないか。

●総評
 操作にしっかり慣れるまでのとっかかりがあまりにも悪すぎるが、ひとたび潜り抜けるとなかなか楽しい作品。次世代機当初の作品で一番ありがちな「3Dにしたはいいけど動きがもっさりすぎる」という部分がないというところは、さすがハードデベロッパーの冠が付くだけはあるかと。あとは何度も言うが「ACT1を乗り越えられるか」、ここに尽きる。