[Data]
ハード:Playstation
メーカー:アイディアファクトリー
発売日:1996.10.04
ジャンル:RPG
実勢価格:100~300円(中古価格)

[Data2]
ハード:PS Game Archives
配信日:2007.05.31
価格:600円

評価:

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[Review] 2013.02.28

スペクトラルタワー

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 「最大10,000ステージのタワーを登れ!」「甘口のRPGファンよ、挑戦してみるがいい」などの挑戦的キャッチフレーズで話題となった(若干)、アイディアファクトリーのRPG作品。アイディアファクトリーが手掛ける同じ世界観のシリーズ「IFネバーランド」の第1作に当たる。(第2作がスペクトラルフォース

 見下ろし画面で10階層~10,000階層の塔を制覇して行く。最初は10階層のゴブリンタワーから始まり、20階層の泥棒タワー・100階層のクイーンローズタワー・1,000階層のスペクトラルタワーと続き、そして最後に10,000階層の”最後の塔”が登場する。ワールドマップ的なものはあるが街などがあるわけではないので、塔をクリアすると次の塔が出てきてその塔に入り…と、淡々と進んでいく。
 フロアマップはプレイごとに変わるローグ方式で、マップ内のどこかに出口と出口を開くためのカギが配置される。カギを手に入れて出口まで行き、鍵を開けて次のフロアへ進む…というのが基本の流れとなっている。

 戦闘については、塔の中を動き回っているシンボルに接触すると戦闘開始…というシンボルエンカウント方式。自分のHPはあるがモンスター側にはHPの概念がなく、画面右側のハートマークが「攻撃を耐えられる回数」という扱いになっている。雑魚モンスターはハート1つ、つまり1回攻撃を当てれば倒せることになる。
 プレイヤーの攻撃判定はサイコロの目によって決まるという独特な方式。画面左の表に従って、○が付いている目を出せば攻撃がヒット、×の目を出すと攻撃が外れるといった具合。このヒット率に関しては、プレイヤー側の「対戦レベル」と呼ばれる敵種族ごとに設定されたパラメータと、モンスターの種族+レベルが影響している。
 例えば種族が”鬼”の敵であれば、”対鬼”のレベルが相手モンスターのレベルより多ければ多いほど、ヒット率が上がってゆく。最初は1~3の目でしかヒットしなかった敵も、対戦レベルを上げていけば1~5の目でヒットしたりするようになるわけだ。ちなみに、6の目全てがヒットするくらいレベル差が出た場合、戦闘画面に突入せずに敵シンボルだけが消え去る。(MOTHER2みたいな感じか)
 1の目を出すと「クリティカル攻撃」となり、ハートが2つ以上あるモンスターも一撃で倒せるほか、倒した種族の対戦レベルが上昇するというボーナスも付く。

 経験値の概念がないので、パラメータの成長に関しては道中の宝箱から拾える(もしくは一部の職でモンスターから盗む)アイテムによる成長か、戦闘時のクリティカル成長の2つのみ。前者のアイテム成長に関しては、HPが「命のしずく」(1~8アップ)か「こげら玉」(11~18アップ)の2つ。対戦レベルについてはそれぞれメダルがあり、メダルを使うことで一定数(1~8ほどが普通)上昇。後者のクリティカル時の成長については、対戦していたモンスターの種族に対応する対戦レベルが1~2上昇する。
 宝箱を開けるのにも「注意レベル」というパラメータが絡み、宝箱のレベルが探索レベルよりも上になると、宝箱もサイコロによってヒットさせないと開けなくなるという要素も。こちらもメダルによって成長させることが出来る。(ほかに武器レベル・グルメレベルもある)
 HPを含めた上昇パラメータは全部で10あり、そのほぼ全てをアイテム成長に頼る形となるが、上昇アイテムは2フロアに1つ出ればいいほうと出現率が低く、当然どのパラメータに対応するアイテムが出るかもわからない。ということで、なかなかパラメータを上げることが出来ない。武器によるパラメータアップもあるが、全ての武器が割合上昇(自分の現パラメータからx倍)のため、元のパラメータを強くしないことには意味がない。

 そう思いながらも何だかんだでスペクトラルタワーあたりまで進んでいくと、自分のHPが300~400くらいなのに1回に100超のダメージを与える敵が続出、しかもこちらのヒット率は2/6や3/6と低い…など、モンスターレベルとのバランスが明らかにおかしくなってくる。
戦闘でのクリティカル成長に関しても1の目を待つだけという”ほぼ運任せ”であり、強いモンスター相手だとパラメータ上昇が多いなどの優遇でもあれば戦闘で稼ごうかという気にもなるがそれもない。中盤以降は強くなってゆくモンスター相手に戦闘をする意味がなくなるので、敵シンボルを避けつつ宝箱だけ漁って次のフロアへ…という動きになってしまう。
 こうやって全体的にパラメータが上がりにくい中で先へ進んでいくと、敵のレベルだけでなく宝箱のレベルも上がってゆくので、宝箱のレベルに自身の注意レベルが追い付かなくなり、途中からは宝箱すら開けられなくなってくる。
 さまざま重なって、結果キャラクターの強化で先が見えなくなる。無視してフロアを進むだけならいくらでも進めるけど(フロアを飛ばせるワープロッドなどのアイテムもあるし)、それだけ。ストーリーを楽しめるわけでもない、成長も楽しめない。フロアを達成することしか目指すところがない、こんなゲームが果たして面白いだろうか?

 …ところで。このゲームには職業の概念があり、スタート時に8桁まである番号を入力して職業を設定する。適当に番号を入れるとほぼ出てくる基本職と、ゲーム中のヒントから既定の番号を手に入れて作り出す上級職がある。もちろん上級職のほうが成長率が良かったり、特殊技が強かったりする。
 では、ゲーム中に手に入れたヒントから上級職になるにはどうしたらいいのか?ということになるが、これが「最初からやり直す」というからまた驚き。上級職の番号をゲームスタート時に入力して最初からスタートするのだ。
 最初のキャラが死んだ後リセットせずに新しいキャラを作って、前キャラが死んだ場所まで進めると前キャラが倒れているので、そこでパラメータの引継ぎが出来る…という裏技めいたものもあるが、結局同じ道程をたどる必要があるわけでね…

 結論、全体的に雑。
 10,000フロアあるよ!というボリュームだけが先に来てしまい、そこまでどうやって辿りついてもらおうか?という部分が完全に抜けているから雑に見えるんだと思うんだよな。いろいろ作っていたら結果10,000フロアになりました!ではこのような中身にはならないはず。
 地味なところだと、文字送りのスピードをゲーム開始時のオプションでしか選べないので、プレイする度にオプションに入って文字送りのスピードを変える必要があるとか、戦闘が終わった後に毎回画面上のパラメータ画面が出てくる(R1でわざわざ消さなきゃならない)とか、細かいところも作りこなれてない感じでした。

 まだネバーランドシリーズ第1作で世界観を明確に作れていなかったのもあるだろうが、なぜか塔内にパン屋がいたり「ベッドゴーレム」「お化けトイレ」などの謎の生物?がいたりするなど、どこを目指したいのかわからない迷走っぷりがうかがえる一方、魔王ジャネスや聖神コリーアなど、スペクトラルシリーズおなじみの名前がこのゲームから登場している。ただシリーズの源流を辿れるかと言われると微妙。スペクトラルフォースシリーズに進んだほうが良いかと。