[Data]
ハード:Playstation 2
メーカー:ビデオシステム/ハムスター
発売日:2004.08.05
ジャンル:クイズ
実勢価格:350~800円(中古価格)

評価:★★★

[Review] 2016.04.21

クイズ&バラエティ すくすく犬福

●概要・基本仕様
 偶然ペットショップで見つけた「犬福」と呼ばれる犬のような大福のような…という生物を育てるクイズゲーム。クイズに答えたり、途中に挟まるミニゲームをプレイすることによって犬福のパラメータが上がり、いろいろな種類の犬福に成長していく。
 元はアーケードでリリースされたゲームのPS2移植版で、アーケード版の開発はSFCのF1 GRAND PRIXシリーズやファイナルロマンスシリーズなどで知られるビデオシステム(現在は倒産?)。続編も出ているのだが、ゲームセンターですら見た記憶がない…今作は結構見かけるのだが。

 1月に犬福を見かけて飼い始めるところからスタートして12月の終わりまで、1年をかけて犬福を育てていく。行き先の選択肢を選ぶことで様々なクイズとイベントが発生するという形式で、イベント後にはミニゲームが挟まるものもある。
 クイズ部分はこの手によくある最大4択のもので、イベントによっては3択や2択になったり、回答までの残り時間が延長されたり(タイマースロー)する。

 様々なミニゲームも特徴で、格闘ゲームのような犬福同士の戦い「犬福ファイト」、シューティングゲーム「犬福ラブミーテンダー」、50m競争「てけてけダッシュ」、しっぽを振って台座を上昇させて競う「しっぽぶんぶん」、吊るされたパンをダッシュジャンプしながら食べていく「ジャンプぱく」、もぐらたたきのような要領で出てくる食べ物を食べる「犬福飯店」、上から落ちてくる分銅を一定時間避ける「犬福虐待女の恐怖」の7つがある。

●様々な犬福のかわいさ
 今作の最大の特徴でありいいところ、それが犬福の可愛さ。ノーマル犬福ももちろんのこと、育てている途中途中で変わってゆく犬福がどれもこれもかわいい。月の終わりではパラメータの上がり方によって「でぶ福」「しのび福」「まろ福」など11種類の犬福に姿を変え、1年後まで進めると大人に育った最終の犬福が登場、その数は約90種類にも及ぶ。

●問題数はちょっと少なめ?
 全部で何問あるかは確認できていないが、1回の通しプレイ中にも同じ問題が何度か出てくるくらいなので、総数はそれほど多くないんだろうと思われる。問題の難易度はもちろんジャンルや得意不得意にもよるが、全体的にまだ易しいほうではないかと。途中何度かライフ回復のチャンスもあるので、ある程度は特攻も効く作り(1クレごとにお金がかかるアーケードではそういうわけにもいかないんだろうが…)。
 ちなみに、クレジットはオプションで最大9まで増やすことが出来るほか、間違えたときのライフの減り方も最大半分に調整可能なので、かなりクリアまで到達しやすくなっている。

●ミニゲームはどれもこれも楽しい。だが。
 7種類あるミニゲームは、動きに慣性がつき高難度の「犬福虐待女の恐怖」を除いてどれもそれほど難しくなく楽しい。「ジャンプぱく」や「犬福飯店」などの食べるミニゲームは勝利するかどうかで体重の増え方が変わったりするのもよく出来ていると思うし、逆に「犬福ファイト」や「てけてけダッシュ」などは勝ったほうが体重が落ちるなどしている。

 特に2Pプレイで起こりがち(アーケードのときからそう)だが、ミニゲームで負けたプレイヤーは問答無用でライフを持っていかれる仕様がどうにも不可解。犬福ファイトなどはCPUと戦う前にプレイヤー同士で1回戦を戦うが、負けたほうは必ずライフを1失うし、勝ち上がったほうも決勝戦でCPUに負けるとライフを1失う。
 「犬福虐待女の恐怖」は上記の通りかなりの高難度で、犬福の動き自体の慣性が難しいことに加え、落ちてくる分銅がものすごい数。たまに画面端に安全地帯が出来ることがあるがこれも確実ではなく、結構な確率でライフを失うこととなる。

 …ということで、クイズの正解不正解以前にミニゲームでライフを失うことが多々あり、純粋にクイズゲームとして見たときにはちょっと納得のいかない部分でもある(特にアーケードでは1クレジット3ライフ制がほとんどなので、この1ミスが非常に痛かった…)。

●犬福の成長結果判別は恐ろしく困難
 犬福が最終的にどのような姿になるかは、月の終わりに出てくる身長・体重・肥満度などのパラメータに加え、正解したクイズのジャンルとその数・場面ごとの不正解数などによって変わる(らしい)。
 途中のジャンルセレクトによって出題ジャンルはある程度コントロールできるものの、どのジャンルをどれだけ正解したかはゲーム中でカウントできない(手動しかない)ので、最終90種類ほどある犬福のフルコンプリートは正直言って不可能に近い。

 細かいことを言うと、途中で変わる犬福11種類と最後に確定する犬福との関連性がまるでないものが多くて、今までしのび福やらまろ福ばかりで来たのになんで最後だけてんとう福?とか、かわいいのはかわいいんだけど何かもやもやする。

●総評
 ライフを削られるミニゲームの仕様がちょっと残念なのと、せっかく犬福図鑑まで用意してコンプリート要素っぽいところを出しているのに、分岐の仕様が複雑すぎてコンプリートする気が起きないというのも困ったところだ。

 とにかく犬福を愛でたい方に。純粋にクイズを楽しむなら他でいいかな…という気も。でもたまに愛でたくなる。