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ハード:Playstation Portable
メーカー:スクウェア・エニックス
発売日:2007.09.23
ジャンル:アクションRPG
実勢価格:500~1,000円(中古価格)
売上本数:約83万本

評価:★★★★

クライシスコア ファイナルファンタジーVII

●ストーリー
 『FINAL FANTASY VII』から遡ること7年前。

 『魔晄エネルギー』の独占と強力な軍事力を背景に世界への影響力を急速に強めていた「神羅カンパニー」。その拠点であり、繁栄の象徴でもある魔晄都市「ミッドガル」は急ピッチで建設が進められ、神羅の完全なる覇権確立も間近に迫っていた。
 神羅は「ソルジャー」と呼ばれる強力な戦闘能力を持つ兵士の組織を擁しており、中でも特に優秀な者はソルジャー・クラス1stと呼ばれ、庶民の尊敬と羨望の的となっていた。
 ソルジャー・クラス2ndザックスもクラス1stに憧れる青年の1人。先輩でありよき指導者であるソルジャー・クラス1stのアンジールとともに日々の任務に励んでいた。そんな中、ウータイでの作戦行動中にソルジャー・クラス1stのジェネシスと共に多くのソルジャーが行方不明になるという「ソルジャー大量失踪事件」が発生する。
 事態を重く見た神羅上層部は、戦争の終結と事件解明のためにソルジャー投入を決定し、ザックス、アンジール、そして英雄としてその名を世界にとどろかせたソルジャー・クラス1stセフィロスがウータイへと派遣されることとなった…

 ジェネシス失踪の真相とは?3人のソルジャー・クラス1stに隠された秘密とは?
 過酷な運命の戦いがザックスを待ち受ける。

●概要
  スクウェアの人気RPG「ファイナルファンタジーVII」の前日譚として発売された、PSP専用のアクションRPG作品。スピンオフ作品群「COMPILATION of FINAL FANTASY VII」の1作で、FFVII本編及びインターナショナル版に登場したソルジャー・ザックスを主人公に、本編の主人公クラウドがミッドガルにたどり着くまでのザックスの生き様を描く。

●エンカウントによるコマンドバトル+アクションRPG
 エンカウント式で戦闘に突入するごく一般のRPGのような形式だが、戦闘中は自由に動き回ることが出来る。攻撃や魔法・アイテムはL/Rで切り替えて○ボタンで選択するコマンド選択のような形になっていて、選択してから行動するまでに多少ラグが入る形。△ボタンでガード・□ボタンで回避。FFVIIと同じく、マテリアを装備することで魔法や特殊行動を取ることが出来るようになる。

 基本的には○ボタンさえ押しておけば攻撃できるので、難しい操作を必要としない。L/Rボタンで攻撃と魔法などを切り替えるのが多少忙しいくらいか。敵の背後から攻撃するとクリティカルヒットとなってダメージが倍増するが、敵の仰け反りも大きくなり、一方的に攻撃できる。ポーションやエーテルなどの回復系アイテムがどこででも買える仕様でしかも安く、アイテム無双も可能なあたりも難易度を下げるのに一役買っているように思う。

●D.M.Wシステム
 「Digital Mind Wave」の略。戦闘中は左上で3つのリールがずっと回っていて、特定の数字が揃うと自身を有利にする特殊効果が発動するほか、ストーリーを進めることで絵柄(人物や召喚獣)が増えてゆき、絵柄が揃うと人物であればその人物ごとのリミット技、召喚獣であれば召喚が発動する。
 リーチ画面では戦闘がストップすることになるが、流れも完全無視で割り込んでくるのとリーチ画面が出てくる頻度がなかなかに高く、テンポの阻害に繋がっている面も否めない。演出としては面白いし、ストーリーの中での使い方は素晴らしいものがあるんだけど…

●いつでも挑戦できる多数のミッション
 本作では、セーブポイントでいつでも受注できる「ミッション」があり、ミッションごとに定められた敵を倒すことが目的となる。ストーリー進行や特定のキャラクターとの会話で追加され、最終的には300にもなる大きなやりこみ要素ともなっている。
 本編の進行具合に合わせてある程度ミッションを進めておけば、レベルも順当に上がっていったり装備品も手に入ったりで本編も楽に進めることが出来るようになるので、並行して進めておくと良い。
 ミッションの横に表記される難易度表示(EASY・NORMAL・HARD・VERY HARD)はザックスのレベルによって変動するようになっており、NORMALまでやっておく…などの判断基準がつけやすい。ここも親切な要素と言えるだろう。

 難点もある。一番大きいのは、同じマップを使ったミッションが多数あって飽きが来やすいということ。ある程度の広さのマップの中で通行止めを使ってエリア分けしているだけ、というのも多い。300のミッション全て別マップはさすがに無理だと思うが、それならそれで300も必要だったか?という気もするし…
 ミッション自体も前段の通りセーブポイントであればどの場面でも受注できるうえ、ミッション開始の説明以外イベントはほとんど発生しないので、途中からはどうしてもミッションクリアを埋めるだけの作業になってきてしまう。

●ストーリーについて
 この作品をプレイする人はおそらくほぼ本編のFFVIIをプレイしたことのある人だろうから、ザックスがどういう結末を迎えたかは知っていると思うので、それをわかっていながら進めるというのは何か心にぐっとくるものがある。
 VII本編ではわずかにしか触れられていなかったザックスとエアリスのエピソード、これ単品でももちろんいいものなんだけど、これを見てからだとクラウドとエアリスの絡みも違って見えてくる。初めて会った時の演出・デート1回・ピンクの服・花屋…
 D.M.Wも都度都度戦闘中に入ってくるのはテンポ悪いなあとも思っていたが、演出としては素晴らしかった。むしろ演出のための前振りだったか?と思うほどに。

●総評
 FFVIIのファンディスク的な位置付けなのは否めないにしろ、FFVIIプレイヤーであれば絶対にプレイするべきとも言える作品。アクション要素もそれほど深くないので、アクションが苦手なプレイヤーでもプレイしやすいと思う。