[Data]
ハード:Playstation
メーカー:スクウェア/ドリームファクトリー
発売日:1998.12.17
ジャンル:格闘アクション・3D
実勢価格:100~400円(中古価格)

評価:★★★★

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[Review] 2012.12.19

エアガイツ

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 アーケード版はナムコとスクウェアの共同開発(ナムコのSYSTEM12基板採用)・PS移植版ではドリームファクトリー製作となった3D格闘アクションゲーム。ドリームファクトリー自体が元ナムコスタッフのいた会社なだけに(このへんの説明はTOBAL No.1参照)、鉄拳らしさが随所に出る内容になっており、三島姓の人物が出てきたり、モーションも鉄拳で見たことあるぞ?というものがあったりとか。

 TOBALシリーズなどで「全方向移動」が少しづつ登場し始めていた3D格ゲーだったが、このエアガイツはその全方向移動をまずゲームの根本に据えたという珍しいタイトルで、操作系が他のゲームにはない特殊なものとなっている。
 まず、レバー(十字キー)は全て走りに当てられ、ガードはR1ボタン。十字キーを押しながらR1で歩き移動と上段ガードを兼ね、R1のみでしゃがみ&下段ガードとなる。△が上段攻撃・×が下段攻撃で、□が△+×の同時押し。○は必殺技ボタンで、専用の必殺技ゲージを一定量使用することでガード不能技を出すことが出来る。R1+□で掴みに入り、ここから投げや掴みからの打撃などに派生する。L1かR1+○でジャンプ。
 このPSコントローラでの操作系はほぼTOBALシリーズがベースとなっており、シリーズ経験者には違和感ないプレイが可能だが、TOBALシリーズ同様にL1でのジャンプと十字キーとの相性は悪い。R1+○で覚えたほうがプレイしやすいのではないだろうか。
 ちなみにアーケードでは、ほぼ上列3ボタン+下列1ボタンの2列4ボタン構成で、上列に上段攻撃・下段攻撃・必殺技と下列にガードが割り当てられ、ガードを親指で押しながら…という配置になっていたところがほとんどだった。はず。

 まず特筆すべきはやはり移動方法とガード。十字キー2度押しでもなく(2度押しからの全方向移動であればソウルキャリバーがある)、押しただけでいきなり画面上を走り回るというのは現在の格闘ゲームでもほぼ出てこないだろう。おそらく全方向移動のひとつ完成を見た作品だろうと思う。この移動方法に合わせるように、段差があったり足場があったりと多彩なステージが用意されており、移動とジャンプをうまく使いこなすことが必要とされる。
 そして、R1でのガードは”十字キーニュートラルで初めて下段ガードになる”というのもこのゲームだけだろう。歩いている最中に攻撃を受けたとき、ニュートラルで上段ガードにすると操作があまりに難しいからだろうが、これも移動をまず考えて、それからガードを割り当てた結果と見ることも出来る。

 そのほか、相手の攻撃に合わせて○を押すことで発動する回避攻撃「インタラプト」がある。似たようなシステムにストIIIの「ガードインパクト」や剣劇格闘によくある「はじき」などがあるが、このインタラプトは「攻撃を受けた瞬間でも発動可能」で、さらに「連続技を受けてる最中でも発動できる」のが大きな特徴。
 相手の連続技をタイミングひとつで止めてしまえるということになり、全てのコンボが確定ではなくなる。ただしいくらでも出せるわけではなく、インタラプト発動時に必殺技ゲージを消費するため、必殺技に使うのかそれともインタラプト用に使うのか、ユーザーの腕や好みで使い分けられる仕組みになっている。
 ○ボタンに必殺技もジャンプもインタラプトも、とひとつのボタンに3つの動作を詰め込んでいるため、インタラプトに失敗すると必殺技かジャンプがすぐ暴発してしまうというのが難点だが、ジャンプしてくれれば回避にはなるから結果オーライにはなりやすい。
 そのほか、地上空中問わず受身が可能・飛び道具系の必殺技に対しては専用の回避動作(十字キーを押したままR1)があるなど、全ての攻撃に対してそれ相応のガードおよび回避動作があるため、この回避系動作を覚えて初めてこのゲームの良さがわかるという形。もともとの操作系が普通の格闘ゲームとは一線を画している上にこれだけの動作を詰め込んだため、敷居は著しく高い。

 どたどた走っているだけではノーガードですぐやられてしまう上、走りのいいところは相手からすぐに離れられるくらいしかないので、R1(ガード)を押しながらの歩き移動を基本とし、間合いを読んでの必殺技とインタラプトを最大限に活用しての上下段or掴みor必殺技…とn択を迫っていくというのがこのゲームのベースとなる戦い方。
 守りから入るというのはソウルエッジなども同じだが、このゲームでは加えて特殊な上下ガード操作が加わり、特に”十字キーニュートラル”の下段ガードが本当に曲者。最初はほぼ忘れて下段攻撃をくらいまくるか、意識しすぎて必殺技でやられたりといったことが多くなると思われる(アーケードでの自分がそうだった)。

 …ということで、連続技ありきではなくタイミングと読みを重視するタイプの内容で、慣れてくると本当に面白いのだが、慣れるまでの敷居があまりに高すぎて敬遠されたという残念なゲーム。アーケードではずっと李書文使ってました。簡単で。

 さて、このゲームにはもうひとつの主要モードとして「Brand New Quest」というモードがある。TOBALシリーズでも好評だったクエストモードをさらに進化させてアクションRPGに仕立てたオリジナルモード。
 (ドリームファクトリーお得意の)階層ごとに毎度構成の違うダンジョンを下って行くという、イメージとしてはアクションを主体にした不思議のダンジョンシリーズみたいなものだが、TOBALシリーズのクエストモードと違うのは、操作系を何となく似せただけのまったく別のゲームだということだ。
 ダンジョンの作りは単純で、パターンの少なさが相変わらずドリフだなあと思うところだが、武器防具あり・満腹度あり・魔法ありと要素もいろいろ詰め込んで、歯ごたえある難易度・フロアもB21Fまでとボリュームもかなりのもの。これひとつでゲームとして成り立つだけの内容を詰め込んだのは大したものだと思う。

 エアガイツ本編でもいくつかのお遊びモード(ミニゲーム)が収録されているが、中でも「BATTLE PANEL」が異色。2人でそれぞれ赤と青のパネルを持ち、相手の色のパネルを挟むように自分の色のパネルを置くことで自分の色のパネルに変えていって最終的にパネルの多いほうが勝ちという、オセロと同じようなルールで対決するモード。
 置く順番がないので、早く走ってどんどん置いたもの勝ち。□ボタンでタックルを出して相手を突き飛ばすことが出来るが、使い方を間違えると突き飛ばした方向にチャンスがあったりするので多用は禁物。

 本編の敷居は高いが、いろいろ遊べるモードを収録しボリュームもたっぷり。本編がだめだったとしても他でカバーできるという、思った以上に遊べるドリームファクトリー会心の一作。このくらいのクオリティを続けることが出来ていれば、昨今のクソゲーマイスターなんていうポジションにはならなかっただろうに。