[Data]
ハード:Playstation
メーカー:ナムコ
発売日:1998.12.03
ジャンル:レース
実勢価格:300~600円(中古価格)

評価:★★★★☆

[Review] 2019.01.31

R4 -RIDGE RACER TYPE 4-

●概要
 PSで発売されたレースゲーム「リッジレーサーシリーズ」の第4弾。レイジレーサーで進化系として大きく路線変更を果たしたが、今回は今までとはまったく違うスタイルの画面表示・シリーズ初のストーリーモードの搭載・初代PS最高品質のグラフィック・過去最大の320台もの車種を収録と、発売前から大きな期待を背負って発売され、前作レイジとほぼ同等の約75万本を売り上げるヒット作品となった。

 最初に発売されたバージョンは2枚組で、DISC2には初代リッジレーサーを60fpsで動かした「リッジレーサー ハイスペックVer.」が収録されている。そのほか、98年12月時点で発売されたナムコのPSソフトや周辺機器をカタログ化した「NAMCO CATALOGUE '98」も収録。鉄拳3・リベログランデなど4タイトルの体験版もプレイできる。
 後にR4は廉価版としてPS One Booksでも発売されたが、そちらにはDISC2自体収録されていない。そもそもかなりの数が出回っていて、発売1~2年後にはすでに1,000円くらいの値段で売られていたわけで、DISC2のないOne Books版にどれだけの需要があったのか…

●ゲームメニュー
 メインとなるのは「グランプリモード」。プレイヤーは新人ドライバーとして4つのチームから1つを選んで契約し、レースイベント「RRR -REAL RACING ROOTS '99-」を勝ち抜いていく。グランプリモード内で獲得した車はそのままガレージに入る。
 そのほか、「タイムアタックモード」「VSバトルモード」を収録。ガレージ内の車を使ってプレイできるのはこの2つのモードのみ。VSバトルモードは画面を2分割して対戦できるモードで、リッジシリーズとしては初搭載となる。

●グランプリモード
 4つのチームはそれぞれ難易度によって分かれており、EASY・NORMAL・HARD・EXPARTと分かれる。マシン性能も敵車の強さも大きく変わり、特にEXPARTはかなり難しい。
 「RRR '99」は全8戦で行われ、最初の2戦は3位以内で突破できる「1st Heat」、次の2戦は2位以内で突破の「2nd Heat」、最後の4戦は1位突破が必須の「Final」となっている。

 1st Heatの結果で2nd Heatに乗る車の車種及びスペックが、2nd Heatの結果でFinalに乗る車の車種及びスペックが変わり、これらと隠し要素で追加される車を合わせて320台が収録されたことになるが、車種としては1メーカー11台×4メーカーで44台であり、正直水増し感が否めない。
 1997年発売のグランツーリスモが「車種の収録数」を大きく前面に出したアピールを行ったことでレースゲームの選択のひとつになってしまった感があり、レイジレーサーまではさほど意識してこなかったであろうこの分野について無理に意識しすぎたかな…と思わなくもない。(実際にレイジレーサーも車種数は13と多いわけではない)

 話がちょっとそれたが、まずこのグランプリモード自体の作りは非常に良い。レース結果によって変わるセリフ量も多く、短いながらも各チームしっかりとしたストーリーを見ることが出来る。黄色基調のインターフェースとも良くマッチしていた印象。

●グラフィック
 当時PSの最高峰と謳われたグラフィックはさすがの一言。シリーズ初の映り込み再現「環境マッピング」、こちらもシリーズ初の滑らかなグラデーションを表現する「グーローシェーディング」の採用、さらにテールランプの残像が残る処理でリプレイが素晴らしい映像に。
 グランツーリスモの環境マッピングに相当衝撃を受けたらしいが、いくら1年後発売とは言えここまでのクオリティに仕上げてくるあたり、さすがPS発売から関わるトップクラスのサードパーティというところだろうか。

●音楽
 ロックに寄っていた前作レイジから一変、ハウスやドラムンなどを中心としたクラブミュージックメインになった。今回夕方・夜のコースが非常に映えるグラフィックになっているので、曲と合わせたロケーションがとにかく素晴らしい。特に「YOUR VIBE」「MOTOR SPECIES」「Lucid Rhythms」「Movin' in Circles」などと夜コースの組み合わせはいい意味でやばいの一言。
 単純に曲の水準が高いのはもちろん、このグラフィックにこの曲だからこその説得力というか、いろいろなレースゲームをプレイした中でここまでBGMに説得力がある作品を他に知らない。

 このR4の曲は後にPSP「リッジレーサーズ」にも大半が収録されることとなるが、正直言ってR4ほどの感銘は受けなかった。単体でも相当いい曲だらけだが、やはりこのグラフィックあってのこの曲なんだなということだったんだと思う。

●挙動
 ドリフトを中心にレイジに比べると幾分元に戻ったが、リッジ過去作に比べると比較的おとなしいイメージ。相変わらずの高い加速性能・壁に当たっても減速の少ないゲームセッティング・比較的道幅も広めのコースが多いなど、スピードを大きく殺すような作りになっていないのも功を奏しているか。

●コンプリートにあまりに骨の折れる仕様
 フルコンプリートは320台、グランプリモードの進め方で手に入る車が変わるというのは先に説明した通りだが、その分岐方法がとんでもないというのが、今作最大の難点となっている。
1st Heatの2戦で行くと…
 2戦とも1位→最上級 1位1回/2位1回の場合 or 初戦3位・2戦目1位の場合→上手
 初戦1位・2戦目3位の場合 or 2戦とも2位の場合→普通 2戦ともに2位以下&2戦どちらか一つでも3位がある→下手
という分かれ方となり、まず1st Heatクリアの時点で4通りに分岐する。

次に2nd Heatだが、今度はこれに「1位通過時のタイム」が加わる。
 2戦とも1位&どちらか1戦以上で1位通過タイムが基準値以上→最上級
 ②2戦ともに1位(タイムは基準値以下) or 1戦目で2位&2戦目で1位基準値以上→上手
 1戦目で1位基準値以上&2戦目で2位 or 1位1回/2位1回→普通  2戦ともに2位→下手

 ゲーム中でこの「規定タイム」についての説明はないので、順位だけだと思って順位を埋めていっても手に入らない場合が出て来るというわけ。まずこの仕様を理解するのが大変。セリフをよく見てると何となくわかるようにもなってはいるが…
 そもそもこの分岐が4チーム+4メーカーすべてにあるのがまた厄介で、グランプリモードで獲得できる車を全て埋めるには、全ての分岐を理解して進めること前提で112周しなくてはならない計算(4チーム×4メーカー×7分岐)になる。

 「水増し感」というのも先に書いた通りだけど、せめて入手の方法がもう少し工夫されていれば良かったかなと。前作のように買わせるタイプでも良かったかもしれない。そもそも320はさすがに多すぎた気もする。

●総評
 PS最高峰のグラフィックとBGM、ちょっとおとなしいがリッジらしさの十分感じられる挙動。車種コンプリートさえ置いておけば間違いなく初代PS最高峰に君臨するレースゲーム。これを2K4Kででリメイクとかになったらどうなるんだろうなーとかちょっと期待しちゃう自分もいるんだが。実現しないかな。