[Data]
ハード:Playstation 2
メーカー:セガ/ネクステック
発売日:2004.11.03
ジャンル:アクションRPG
実勢価格:300~400円(中古価格)

評価:★☆

シャイニング・ティアーズ

●あらすじ
 夢幻大陸エンディアス。そこはエルフやドワーフ、様々な獣人たち、そして人間など多様な種族が共存共栄する異世界。

 大陸の中でヴァレリアと呼ばれる地方に在る、都市国家「シルディア」。聖なるエトワール神殿のほど近く交通の要衝として栄える商業都市であり、「獅子のたてがみ」と呼ばれる三重の城壁が取り囲む難攻不落の城塞として名高い。

 しかし、平和なこの都市に異変の影が忍び寄る。シルディアを混沌の中心とし、まさに動乱の時代が幕を開けようとしていた…

●概要
 セガの人気シリーズ「シャイニング・フォース」の系譜を受け継ぐ、アクションRPGとなったシャイニングシリーズ作品。PS2では初めてのシリーズ作品であり、「新・シャイニングプロジェクト」の第2弾としてリリースされた。アダルトゲームなどで原画を手掛けていたTony氏をキャラクターデザインとして初採用し、以後シリーズ作品の大半を手掛けることとなった。続編としておよそ半年後に発売された「シャイニングフォース・ネオ」がある。(製作会社が別なので雰囲気はだいぶ異なる)

 見下ろし画面でキャラを動かし画面上に多数現れる敵をなぎ倒すゲームで、後半になると50体以上もの敵が1画面に収まるという圧巻の物量を見ることが出来る。

 ウリとしていたのは「1人で2キャラを簡単操作」「戦闘時に選択できるパートナー」「能力やスキルを自由に振り分けて育成できる自由度の高さ」「コントローラ2つで2人同時プレイも可能」というところ。主人公シオン役を演じた保志総一朗さんが主題歌を担当したことでも発売当時は話題となっていた。

●基本操作&2キャラ操作
 基本は○による攻撃と□でのアイテム使用のみという単純な操作で、特に終盤は圧倒的な物量の敵をザクザク倒してゆくこととなる。この辺りは後継作にも生かされているようだ。
 ○長押しでゲージを貯めてシングル技と呼ばれる特殊技を発動できる。技のセットは画面中央下のコマンドスロットという場所で行い、十字キーで技のスロットを選んで上下で技を切り替える仕組み。技は最初は1種類だが、後述の育成要素によって複数覚えることが出来る。他、L1がロック+防御・L2がダッシュとなる。

 もう一人連れていけるパートナーについては、基本はAIによる自動行動となるが、右スティックで移動を制御できるほか、R1でその場にロックさせての「リンク技」と呼ばれる協力技を発動できる。R2でダッシュをさせることも可能。
 ここまで説明しておいて何だが、この要素については一言「ほぼ使わない」。そもそも自キャラの移動の合間を縫ってもう一人を右スティックで動かすこと自体に無理があり、パートナーが勝手に敵の大軍に飛び込んでいった時の緊急救済くらいにしか使えない。操作説明だけなら簡単そうに聞こえるけど、実際動かしてみるとこりゃ無理だなってすぐわかるものだと思うが…

 難易度はまずまず高い。後述の育成をどうするかによって難度がガラッと変わってしまうこともあるし、最終盤の敵の数と囲まれ方がかなりハード。回復アイテムの所持数が限られているのにマップ数や戦う敵の数だけがガンガン上昇していくので、若干理不尽に感じるところもあった。

●技の価値
 先に紹介した、キャラクターそれぞれの「シングル技」と2人協力で出せる「リンク技」についてだが、特にリンク技に関しては使う機会はほとんどないと言っていい。せいぜい使えるのはリュウナとのリンク技「ターンアンデッド」くらいだろうか。
 リンク技はキャラの間を範囲として一定範囲に発動するものがほとんどなので、まずキャラ間に敵がいることが大前提になるのだが、この前提を作ることから難しい。回避ができない仕様上下手に敵間に飛び込むとタコ殴りに合う可能性もあるし、技発動の間や発動後の硬直が長すぎて危険すぎる。威力もさほど高くないとまるでいいところがない。

 シングル技についても、シオンの初期装備技「サウザンドスラスト」以外はろくに使える技がなく、ほとんどの場面は通常攻撃3連でがしがし斬っていったほうが早い。

●能力・スキルの振り分け
 レベルアップするともらえるポイントを筋力・器用・知力・体力の4パラメータに自由に振り分けることが出来る。女神転生シリーズあたりをイメージしてもらえるとわかりやすい。1レベルアップにつき3ポイントもらえる仕組み。
 スキルについては、1レベルアップにつき1ポイントもらえ、もらったポイントで新しいスキルの習得・既存スキルのレベルアップが行える。スキルの最大レベルは10で、シングル技・リンク技のほかに、覚えるだけで自動発動するオートスキルがある。

 内容は目新しくはないもののいろんなステの振り方ができるので、自由度という意味では非常に高いものになっている。と言いたいところだが、今作では防具の装備にパラメータ制限があり、例えば「ガウン」という鎧装備は器用53・体力53ないと装備できない、といったものがある。せっかくの自由度高いステ振りも防具の最低能力値反映のために振り分けざるを得ず、「自由度高いシステムを縛る」という謎の仕組みを作っている。これは大いに疑問。

 おそらく防具のステータス管理に対応させるためだろう、レベルアップ時にもらえるポイントはその場で上げられるわけではなく、ステータス画面に自分で入ってそこから上げてくれ、という仕組みにしているのだが、これを主人公シオンのみならず仲間全員に行わせるというのはいくら何でも無理がある。
 アイテム管理は後述するがこのあたりも全くこなれていなくて、この防具のこの画面を切り替えてこのステータスが必要だからこのパラメータを上げて…みたいな、育てたいだけなのに防具の各種能力説明とパラメータをにらめっこするような事態に。育成している気に全くならないし、パラメータを上げても育っている気がしない。それが最大9名分あるんだからもうね…

 このあたりのゲーム内説明は、すべて本陣「勇者亭」を出てすぐのティアリスというキャラが教えてくれるのだが、そもそもすべてこのキャラにぶん投げでストーリー進行内で説明を設けないこと自体がどうかと思う。項目多すぎて話を聞くだけで一苦労だし。

●アイテム管理
 アイテムは装備品について最大150種類まで所持可能。装備品(防具やアクセサリー類)は戦闘中にも手に入るが、ほとんどが鑑定が必要なものとして落ちており、本陣シルディアに戻って鑑定屋で鑑定してもらって正確な能力等を判別する。

 後半は特に多数の装備品が手に入ることになるのだが、鑑定はまず1つ1つ選択することになるので数が多いと大変だし、店に売りに出すにもカーソル初期配置がなぜか「装備する」になっているので売却と間違えて装備してしまうことも多々。
 これだけ人数がいて入手数も多いのだから、せめてそれぞれのキャラクターで装備できるもののみ表示させるくらいはしてほしかった。前述のステ管理と合わせて、だんだん装備・整頓が面倒になってくるというのは致命的かと思う。

●ストーリー
 広い世界観のはずが、ちまちまいろんな情報が小出しに出てくるおかげで広さを感じないというか、名前だけ出てくるからこういうことになるのかな、とか…
 主人公たちが守るべくシルディアのほかに、隣国から攻めてくるルーンガイスト帝国や獣人の国である隣国ベスティアなどが登場、国と国との非常に大きな戦いが描かれている作品のはずが、全てをミニマップや本陣での説明で済まそうとしているせいで全く規模感が伝わらない。度々街の中も襲われているような描写やミッションもあるのだが、終始街の人々は会話内容が変わるだけで穏やかに過ごしており、本当に大戦争やっているのか?という感覚になる。

 今作はインターミッション→戦い→インターミッションという流れになっており、それ自体は別にいいのだが、途中「仲間がさらわれた!早く追いかけないと!」となるような緊迫したストーリー展開ですら「本陣に戻る」→「本陣から出撃」といういつもの流れを踏襲するなど、全体的に緊迫感がかけらも感じられないのはどうかと。

●ロード時間・UI全体的な問題
 ロード時間が長いことと必要とする場面も多いというのも難点。マップによって時間に多少差があるが、ほぼ1回につき5秒以上は要している。大きめのマップだと20秒以上かかることもあり、DVD-ROMだよね?と再確認してしまう。PS2の耐久度という部分でも心配になるようなレベルだ。画面が「Now Loading」表記のみなのもなおさら心証を悪くしている感じ。

 ステータス画面表示などのUIも問題が多く、まずとにかくテンポが遅いというのが一番。もう少しシャキシャキ動いてくれよという。建物への入退時や選択時・ステータス振り分けなどに毎回はいいいえの確認が入るのも鬱陶しい。
 あと、敵の数が多いと相当なレベルの処理落ちを起こすというのもどうかと。そもそもそこがウリのゲームのはずなんだから…

●総評
 何もわからずガシガシ斬っているだけならまずまず楽しいが、だんだん内容を理解してくるとあれも問題これも問題、となってくる。残念ながらいろんなところが穴だらけという感想になってしまうなーという作品。個人的にはロードが長いだけならさほど問題にはならなかったんだけども、それ以外があまりにも。