[Data]
ハード:Playstation 2
メーカー:セガ/ネバーランドカンパニー
発売日:2005.03.24
ジャンル:アクションRPG
実勢価格:300~400円(中古価格)

評価:★★★★

[review]2017.11.02

シャイニング・フォース ネオ

●あらすじ
 世界は「光の結晶」の力によって繁栄を誇っていた。しかし13年前、「月の眷属」と呼ばれる者たちが光の結晶を破壊し、月を覆う巨大な眼から生物兵器「レギオン」を次々と召喚した。激しい戦いによって、10ある国々のうちの7つと多数の「フォースの戦士」を犠牲にしながらも、人々は「月の眼」を閉じることに成功する。レギオンたちは眠りにつき、戦いは終結した。

 そして、今。滅亡を免れた3つの国の一つ「ユークリトス」でフォースの戦士になるため「ラーカイルの砦」で修業を重ねていた少年マックスは、2年ぶりに故郷の街「グリーンスリーブス」に帰ってきた。

●基本概要
 セガのシミュレーションRPG「シャイニング・フォース」シリーズの正当後継作にして、アクションRPGに生まれ変わった新しいシャイニングシリーズの第2弾。第1弾は「シャイニング・ティアーズ」、続編として「シャイニング・フォース イクサ」がPS2で発売されている。セガはGBAのリメイク版シャイニングと合わせて「新・シャイニングプロジェクト」と呼称しており、プロジェクトではGBAリメイク・ティアーズに続く第3弾に当たる。
 製作は「エストポリス伝記」「ルーンファクトリー」シリーズなどで知られるネバーランドカンパニー(2014年業務停止)。キャラクターデザインを担当したのは「Harlem Beat」などで知られる漫画家の西山優里子氏。

●基本システム
 ほぼ全編斜め上からのいわゆるクォータービュー視点で展開されるアクションRPGで、画面狭しと押し寄せる敵の大軍を倒してゆく爽快感が特徴。アングルといい押し寄せてくる感覚といい、一昔前のPCゲームを彷彿とさせる。ディアブロあたりがやっぱり一番近いだろうか。最近だと「ハックアンドスラッシュ」(ハクスラ)と呼ばれるジャンルに当たると思われる。このハクスラというジャンルもいつ頃呼ばれるようになったのか定かでないが。いつの間にか定着していたような印象。

 ジャンプや回避などはなくとにかく装備品と能力でごり押しするようなタイプのゲームなので、アクション性はそれほどなく、どちらかというとキャラクター育成に重点が置かれた内容に思える。
 途中から加わるパーティキャラクターは最大2名を選ぶことができる。こちらはレベルが上がってゆく要素はあるが、育成に関する要素があるわけではないので、ついてきて勝手に戦うという位置付けに落ち着いてしまっているのはちょっともったいないところか。

●ストーリー
 ピュアファンタジーRPGという公式上ジャンル表記の通り、シャイニングシリーズ特有の様々な種族が生活する世界を舞台に、軽い恋愛要素も含めた王道ファンタジーなストーリーが展開される。
 話が全世界を巻き込む大きな内容なのに、目指すべき相手の動機付けがいまいち小さくて小物感が漂うのがどうにも腑に落ちないところ。演出も基本アドベンチャーのような進み方なので、音声に頼り切った感があるのが残念。
 声優陣は豪華の一言、主人公マックスに森久保祥太郎さん・ヒロインのメリルは堀江由衣さん。他にも飯塚昭三さんに金田朋子さん・置鮎龍太郎さん・子安武人さん・林原めぐみさん・緑川光さん・郷里大輔さん・保志総一朗さんなどなど。ここまで集められるのはさすがセガというところなんでしょうか。

●なぎ倒す爽快感+いつでも本陣に戻れる設計
 ネバーランドカンパニー開発の作品で、同じように圧倒的な敵量をなぎ倒すアクションゲームとして「ロードス島戦記 邪神降臨」(ドリームキャスト)があり、そのエッセンスを多分に使った作品とのこと。未プレイなので比較はできないが。
 個人的にシャイニングシリーズのアクションRPGのイメージがもう少しライトな形だと思っていたので、思ったより硬派な作りに圧倒的な物量の敵というのはちょっと面食らったところがあるのだが、移動と攻撃だけの簡単操作でなぎ倒せるのはなかなか爽快で、無双シリーズのあの快感に通じるものがある。

 この物量で襲ってくるので受けるダメージにも相当気を使う必要があり、少し気を抜くと連続で攻撃を受けていてゲームオーバーになっていることも多々。今作はゲームオーバーは即タイトル画面なので、細かいセーブが必須だ。
 回復は「いやしの水」というアイテムによるものと一部味方キャラの回復魔法のみ。いやしの水は進めるごとに最大数が増えていき、いつでも□ボタンで使用可能。使い切っても本陣のいやしの泉でいつでも補充が可能だ。
 今作ではリターンの魔法を使った「いつでも本陣に戻れる」という仕様を設けている。ボス戦中や一部イベント中などを除き、ほとんどの場面でいつでも本陣に帰ることが出来、前述のいやしの水を使い切った場合でも本陣に帰って補充しなおしが出来るというのが他にはない面白い要素だ。

 後述の育成要素を突き詰めていくと、最終的に1回のダメージが1000万単位にまで膨れ上がるというインフレ具合にも注目。敵も敵で100万単位のHPが当たり前になる。

●育成:フォースアート
  基本は敵を倒すことで手に入る経験値でのレベルアップがあるが、それ以外に道中手に入る「フォースアート」を入手しての能力アップがある。フォースアートにはHP・攻撃力や魔法力・防御力アップなどの基本ステータス上昇のほかに、敵の種族ごとに与えるダメージを上昇させるもの、気絶や石化などの耐性を上昇させるものなど様々。これも敵を倒して「モンスターゲート」(巣みたいなもの)を破壊することで得られる「フォースエナジー」を貯めることで上昇させることができる。

 名前が聞き慣れないだけで内容は一般的な育成とそれほど変わらないが、育てれば育てるだけ明らかに与えるダメージも変わるし受けるダメージも減少する。攻撃重視にするのか防御重視で行くのかなど幅も大きく、育て方次第で難易度を大きく変えることができる。
 惜しむらくは、中盤以降敵の攻撃力がいきなり急上昇するので、結局防御重視で進めないと心を折られる可能性があるというところか。

●4種類の武器
 武器は4種類あり、連続攻撃を繋ぎやすく動作の比較的早い+盾を装備できる片手剣・高い攻撃力の代わりに重い動作の両手剣・攻撃力は低いが魔法が使える杖・遠距離からの連続攻撃ができる弓の4種類となる。
 前述の通りこのゲームは防御も回避も存在せず、敵の攻撃は移動で避けるか真正面から受けるかしかないのだが、敵の物量が圧倒的ですぐ囲まれてしまう今作の環境だと、いくら動きの軽い片手剣でも敵の攻撃を避けながらというのは困難。前半はある程度ごり押しで進めるからいいとして、中盤以降は下手に飛び込むとあっという間に死亡するので、結果遠距離攻撃の弓か杖が圧倒的に楽ということになる。後半は攻撃力の差で弓一択という感じがする。

 このゲームの仕様上、両手剣は盾が使えないので防御の面で不安なうえ動きが重すぎて非常に使いにくく、4種類の中では最も不遇な武器という印象。

 敵に入る武器防具には「スペシャルパワー」というランダムに付与される能力がついており、基本パラメータ上昇や対種族特攻・対属性防御上昇などの効果がつく。
 後半になると、レギオンハイヴと呼ばれる魔物の巣のような場所の攻略により特殊能力「奥義」もつけられるようになる。内容はスペシャルパワーにほど近いが、全ての武器防具に必ず1つつけることが出来、しかもいつでも付け替えができるというのがポイント。結構チートな能力もちらほら。

●アイテムとお金関連は改善の余地多し
 武器防具はほぼモンスターゲートを潰すことで入手でき、1回の入手数も多い。なのに持てる数が最大50と少なく、あっという間にアイテム欄を一杯にしてしまう。リターンで本陣に頻繁に帰ることを想定していた作りなのかもしれないが…。
 大半の武器防具が「鑑定」を行って能力を判別する形になるが、鑑定も1つ1つ行う必要があって面倒。売るときもフォースエナジーに代えるときも1個1個選択、この作業にかかる時間が非常に多くなってしまうのが痛い。まとめて鑑定できればなあ。

 お金も最大9999999まで所持できるが、武器防具を売りさばくとあっという間に最大値になるし、武器防具を強化出来る要素もあるが使用する金額もこれまた数百万単位、持てる最大値と動くお金の量が明らかに合致していない。持てるお金の最大値はもう一桁多くても良かったイメージ。

 前述のスぺシャルパワーをはじめとした武器防具の能力値確認も、情報を詰め込みすぎて複数画面を切り替える必要があり、整理整頓もしにくいわ能力値の変動の確認も面倒だわで、ここはマイナス点が非常に多い。整理整頓については色によるタグ付けみたいなことが出来るが、正直言ってほとんど役に立たない。

●中盤以降の難易度上昇が鍵
 中盤以降、レギオンハイヴを回れるころになると難易度が一気に跳ね上がる。中でも大型モンスターからの攻撃を食らっての一撃死が突如出てくるようになるのは評価の分かれるところだろう。特に雷の魔法を多用する敵の連続攻撃は最後の最後まで対応に苦慮する。個人的には適度に歯ごたえもあるし、本陣に戻ってのどこでもセーブみたいな環境下と合わせてまずまずのバランス感覚だと思ったが。

●総評:簡単操作とシビアなバランスが同居
 グラフィックや音楽にはそこまで驚きがなかったが、簡単操作で単純に没頭しやすいゲーム性・そこそこシビアなバランス。何だかんだ時間を使って最後までプレイしたくなるレベルの作品にはなっていると思う。60時間くらいプレイできたしね。