[Data]
ハード:Playstation 2
メーカー:セガ/ネバーランドカンパニー
発売日:2007.01.18
ジャンル:アクションRPG
実勢価格:400~500円(中古価格)

評価:★★★

シャイニング・フォース イクサ

●あらすじ
 人間と獣人と魔族が存在する世界。人間が治める帝国「ノスワルド」、魔族の領土「フィアランド」。その大陸では、ふたつの国がいさかいを起こしながらも共存してきた。しかし、両国の玉座に強い武力を誇る王が就いたことをきっかけに、激しい争いが起こる。

 戦争が各地で起こり、戦うことが自然になっていく両国。変わりゆく国に馴染めない人々が辺境に集まり、そんな辺境から世界の歴史が変わろうとしていた。

●概要
 「シャイニング・ティアーズ」「シャイニング・フォース ネオ」と続く、シャイニングのアクションRPGシリーズ第3弾。製作はネオと同じネバーランドカンパニーで、ネオのシステムをベースとして様々な要素を追加した作品となっている。
 キャラクターデザインはネオから変更され、アニメ「UN-GO」のキャラデザややラノベの挿絵などで活躍するpako氏に。前作からだいぶ毛色が変わったが、個人的にはかなり好きな路線。
 ティアーズを作ったネクステックは、本作イクサ発売のわずか4ヶ月後に「シャイニング・ウインド」を発売。もともと2社でそれぞれ違うシャイニングシリーズを作って並行展開させていくという流れだったらしいが、結果ネバーランドカンパニーのシャイニングシリーズは本作で打ち止めになり、ネクステックのいわゆる”Tonyシャイニング”がメインシリーズとして2017年現在も続行する形に。

 まあ、こちらのシャイニングシリーズは正直ストイックすぎた印象はあるので、キャラデザ含めて売れるかどうかという基準でみると仕方ないのかな…というところもあるんだけど。

 前作ネオが簡単操作とシビアなバランスでハマる人にはとことんハマるゲーム性だったということで、今作もそれを踏襲。主人公を男女2人に分けてそれぞれに持てる武器を変え、溜め攻撃などの要素も追加、演出も強化された。武器防具についても着せ替えの要素がつき、装備品によってグラフィックも変わるなどしている。一部イロモノ装備を除き、女主人公シリルを楽しむためのもののような気が…

●簡単操作と爽快感は健在
 前作同様に、基本的に○ボタンによる攻撃と□のアイテム使用のみ(魔法は△)で進めることが出来る簡単操作は健在。1度に数十体を相手にするような場面も多く、このあたりのなぎ倒し感は前作同様の爽快感だ。
 通常攻撃については、攻撃のコンボ中に○を長押しすることで発動する「チャージ技」と、チャージ技の後○ボタンでMPを消費して追加発動する「スペシャル技」の2つが追加された。どちらも○ボタンによる操作だけなのでさほど難しくなく、特に男主人公トウマではかなり有効に活用できる。魔法+ボウガンのシリルについては、ボウガンの連射とコンボの見分けが難しく発動しにくい。そもそもシリルの武器はチャージ技もスペシャル技も強くないので使う必要もそれほどないのだが。

 その武器については、前作ほどの優劣はなくなったように思う。前作の弓に当たるボウガンが若干弱くなり、剣2種の攻撃力が引きあがったので、全体のバランスとしては良くなった。それでも遠距離攻撃のほうが使いやすいけど。

●育成要素は継続
 育成要素は前作から呼び名が「パワーアート」に変わっただけでそのまま継続。道中手に入るミスリルを使って能力アップが行える。上げれば上げただけ明らかに強くなっていくバランスは変わらず見事で、育てている感触がすごく感じられる。
 今回は序盤から「訓練所」と呼ばれるダンジョンに挑戦できるので、能力値が足りないときは訓練所を歩き回れば良く、前作よりは幾分育成しやすくなった印象。

●巨大要塞「ジオフォート」・強化・防衛戦
 冒頭、トウマが聖剣シャイニング・フォースを目覚めさせたことで巨大要塞「ジオフォート」が蘇り、このジオフォートが本陣という形で進行する。前作と同じく一部ボス戦中などを除きリターンの魔法でいつでも本陣に戻ってこれるほか、道中手に入るアイテム「コアメタル」を使ってジオフォートを強化できる仕組みも導入された。

 2人の主人公はいつでも切り替えて進むことが出来るが、ストーリー進行の最中ジオフォートに敵が攻めてくることがあり、その際は本陣に待機している主人公が防衛に当たる。終盤になると両主人公を必ず使うことになるので、それまでに2人をそれぞれ使わざるを得ないような仕組みにしているのは良い部分かと思う。
 ただ、敵の攻めてくる感覚が結構短くて頻繁にメインのストーリーを途切れさせることになってしまう。結局何で攻めて来られるのかもいまいちわからない。両主人公を育てる意味で仕方なかったのかもしれないが、もう少し攻めてくることに意味を持たせることが出来れば違ったのかも。

●ストーリー:強化された演出・でも…
 聖剣シャイニング・フォースを目覚めさせたことで巨大要塞「ジオフォート」が蘇る。ジオフォートの巨大な軍事力で両国の争いを止めようとするトウマに対し、ジオフォートの力を手に入れるために画策するノスワルド・フィアランドのトップ2人を中心に物語は描かれる。
 前作ネオではほぼキャラクターのイラストと文字だけでストーリーが進行するアドベンチャーゲームのような進み方だったが、今作ではムービーの量が増え、リアルタイムでの視覚演出も大きく強化された。ようやく一般的なRPGの水準になったというか。

 ストーリー全般を見ると、製作会社が違うがティアーズと同じような感じ。国と国との大きな争いを描いているのに、出てくる人物が少なすぎて戦争している感がまるでない。たまに獣人が進軍しているような演出があるくらいでそれぞれの街は平和そのもの、人々のコメントが多少変わるくらい。
 操られたトウマ→呼びかけるシリル→その場であっさり自我を取り戻すトウマや大した盛り上がりもなく気付けば共闘している両国トップなど、とにかく全体的に薄味。声優は相変わらず豪華なだけにもったいない。今回も朴ろみさんに桑島法子さん・草尾毅さん・鶴ひろみさん・井上和彦さん・久川綾さん・水樹奈々さん・田村ゆかりさん・古川登志夫さん・銀河万丈さん・堀川りょうさん・神谷浩史さん・堀口めぐみさん…と新旧取りそろえた超豪華面子。

●ネオからの流用が多すぎかも
 ネオのシステムを生かした続編なので、例えば武器防具が同じとか、一部街が同じとかいうのならわかる。それはシリーズものとしてありがちな要素として片づけられるだろうけど、残念ながら今作の場合はそれがやりすぎて露骨に見えてしまうくらいのレベル。
 特に首をかしげてしまうのはマップの流用で、中盤以降登場するマップは洞窟内から城内・神殿・洞窟・雪原に平原に至るまで、かなりのマップをネオからほぼそのまま流用している。入口の場所だけ変えているものや、マップの繋がりまでそっくりそのままというものまであり、さすがにここまで来るとどうかと思う。

 今作では前作の「レギオンハイヴ」と同じような「エンシェントアリーナ」というものを各地に設けているが、これについても流用マップ内では場所も同じ。前作をプレイしていると、ちょっとマップを歩いた段階で大体の予測がついてしまうからね…

●アイテム関連もあまり改善が見られず
 前作同様手に入る武器防具は多いが持てる数はトウマ・シリルそれぞれ最大50個まで。装備できる武器防具がはっきり分かれているので受け渡しなどでさらに手間がかかるようになっている。鑑定も相変わらず1個1個選択していく形だし、ミスリルに溶かす作業も1つ1つ。
 武器防具の能力値確認も相変わらず見難く、R2ボタンで変化値の差分を表示できるようになったが大きな改善ではないように思う。奥義による能力値変動がかなり大きいので、今持っている武器防具とそれ以外の武器防具の差がどのくらいあるのかを認識しにくく、結果全部に同じ奥義をつけて比べるという形になってしまうのも残念なところ。
 お金については1桁持てる金額が大きくなったが、今度はそこまで大量に使う機会が少なくなってしまった。改善したことはしたんだが。

●総評:バランスは幾分マイルドに。ネオほど没頭できる作品ではないか
 前作があまりに尖っていたということもあるだろうけど、今作ではやばい敵はほぼクリア後ダンジョンや訓練所の最下層に集中しており、ストーリー進行上で詰まる可能性があるのは最終盤 or 明らかに寄り道した場合のみとなった。
 そういった意味では、前作より最後まで進めやすい作品であることは間違いない。前作をプレイしていない人がネオとイクサどっちをプレイしよう?なら、間違いなくイクサだ。

 ただ、前作の続編としてプレイした場合、なぎ倒す没頭感はネオのほうがあるし、進化した部分が少ないなとも思う。結局基本の育成システムにほとんど変化がないので、よほどストーリーに入り込めなければ同じことを2回やってるようなものだから。