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ハード:Segasaturn
メーカー:セガ/Jフォース
発売日:1996.03.29
ジャンル:シミュレーションRPG
実勢価格:300~500円(中古価格)

評価:★★★☆

ドラゴンフォース

 8つの国の君主から1人を選び、拠点を攻め落としてレジェンドラ大陸を統一するシミュレーションRPG。8人の君主は星竜の八戦士と呼ばれる紋章を受け継いだ戦士であり、大陸統一後は8人の戦士で邪神マドルクを倒すという新しいストーリーが展開されてゆく。
 制作はSFC「グランヒストリア」などの制作に関わったJフォース。Jフォースは本作制作途中に倒産、発売元であるセガが引き継いで完成にこぎ着けたことで有名。その後、主要スタッフが新たに立ち上げた会社がアイディアファクトリーで、このゲームのエッセンスを取り入れてPSで制作されたのが「スペクトラルフォース」だった。

 主にマップ画面での戦略(フィールドモード)と城内での内政モードを順番にこなしてゆくゲームで、画面右上の砂時計が合図になっていて、落ちきるとフィールドモードから内政モードに切り替わる仕組み。内政終了を選ぶとまたフィールドモードへ移行する。
 フィールドモードでは、最大5名の武将を「師団」として出撃させることができるほか、それぞれの城に滞在する武将に対して兵力を補充することができる。補充できる兵数は滞在している城のレベルによって異なり、後述の内政モードで滞在する武将に築城することでレベルアップさせることができるほか、城それぞれに定める太守の能力によって自動でレベルアップもする。

 内政モードでは、戦闘で引き分け以上の戦績を残した武将に対して功績をたたえ勲章やアイテムを与えることが出来たり、補充兵数上昇に必要な城レベルを上げる築城・在野にいる武将や城近辺にあるアイテムを探せる探索が実行できる。
 今作では1武将の持てる兵の最大数が勲章の数×10となっており、戦功をあげた武将ほど勲章がもらえて兵力が単純に多くなっていくので、基本的にはどんどん戦闘をさせたほうが良いということになる。勲章については戦功を挙げていない武将にも渡すことができるが、もらえない武将の不満がたまり最悪の場合離反されることもあるので、基本は功績通りに勲章を与えておいたほうがいい。勲章数が10になるとその武将からの不満が出なくなるので、そうなると功績を他の武将に分け与えることも可能になる。
 築城と探索については、武将の内政力パラメータが70以上ないと実行できない。武将はレベルアップしてゆきパラメータは上昇してゆくが、終盤になるまで70を超える武将はかなり少ないので、どこの城に配置するかも重要な要素となってくる。

 城に攻め入る(攻め入られる)か、進軍中に他国のキャラクターとぶつかると戦闘モードに突入する。ここでは武将を一人づつ選び、武将の持つ兵士同士がぶつかり合うバトルへと入る。最初に陣形を選択し攻め入るのだが、武将それぞれに持っている兵種による優劣があるほか、最大3種類ある武将の固有技による強力な攻撃を出すことも可能。
 陣形については、すべての兵士を動かせる「専攻」・7割を動かし残りを武将の周りに置く「攻撃」・3割を動かし残りを武将の周りに配置する「守備」の3種類が基本陣形となるが、守りを固めたいなら専攻を選んでスタート時にすぐ待機させればいいだけの話で、専攻以外の2つは武将の周りのユニットが自由に行動させられないだけでメリットが何もない。
 こちらが待っていると相手が勝手に近づいてきて先制攻撃を仕掛けることができるため、遠距離攻撃の兵種(メイジ・スナイパー)以外の相手には待ちの戦法をとったほうがいい。武将によって遊撃・防壁・突破といった特殊陣形も使えるが、これも待ち戦法が強い関連で防壁が圧倒的に強く、総じて”待てばいい”になりがち。
 戦闘が終了すると負けた武将が捕虜となることがあり、プレイヤーが捕虜として捕えた武将については内政モードで会見することができ、会見の結果味方となる場合がある(一部絶対に仲間にならない武将や、君主を仲間に引き入れた段階で初めて仲間となる武将がいる)。
 兵種については、とにかくドラゴニア一択という感じ。足軽以外すべての兵種に対して得意という驚異的な性能で、ドラゴニアが使える武将がいるかいないかだけで難易度が大きく変わる。逆にハーピー以外のほぼ全ての兵種を苦手とするメイジ・アーチャーについては、なぜか最前列にいる兵士しか攻撃に参加しないという謎の仕様も相まって使いどころに困る(特に後半)。

 後継作のスペクトラルシリーズと比べても、戦闘部分のバランスはこちらのほうが取れていると感じる。スペクトラルシリーズは作品によって必殺技偏重・陣形偏重と極端すぎたが、今作は待ち戦法を使うとドラゴニア相手でも何とかなるくらいの兵種バランスだし、兵の補充が割とやりにくく出来ているので、いったん消耗すると立て直す前に攻め込まれたりもする。残り3ヶ国くらいになったあたりからは、他国武将のレベルも上がって攻略がさらに難しくなってくる。
 レベルアップによる強化が主軸なのでお気に入りの武将をとことん強くするなどのプレイも面白く、このあたりは後継にもいい意味で受け継がれた部分だろう。

 資金や食糧などの消耗品概念がないので、武将については増やせるだけ増やすことができ、最終盤になると100名以上の武将を抱えることも可能になる。残念ながら武将の探索やソートについては十分とは言えず、武将がどこの城に滞在しているのかを一覧できなかったり(一人ひとり探すことはできる)、内政モードでも勲章・アイテム授与の際に戦功でソートができなかったり。STARTボタンでレベルでのソートが出来たりはするが、それが出来るなら戦功ソートを…
 他にも、城の数がかなり多いのに城の名前を一覧できるのが内政モードだけだったり、兵の補充部分については人数が多くなると待ち時間が馬鹿にならなかったりと、いろいろ細かいところが行き届いていないのはデメリットか。

 ストーリー部分では、やはり大陸統一後が気になるところ。統一までは緊迫した展開で非常に面白いのだが、その後は星竜の八戦士だけを動かすイベントが続く。これが大陸の端まで行ってから一つの城に集合させるという内容で、しばらく見てるだけ。最後になるととってつけたように竜人の軍勢がぽっと出でいろんな城に攻めてきたりするものの、同じ城に連続特攻してくるだけでむしろ邪魔。
 ストーリー上はマドルク復活とかカトマンドゥ登場などで緊迫した展開のはずだが、肝心のフィールド上がゆったりした空気になってしまうのはどうなのかなと。もうちょっと大陸統一とマドルク復活あたりのイベントを交差できなかっただろうか。

 シミュレーションとしてはやることが少なくてわかりやすく、武将の育成に目を向けられるという点ではRPGとしての面白さがある作品だと思う。フィールドと内政の切り替わりテンポが素晴らしく良く、何だかんだと気づいたら進めちゃっているという中毒要素を持つが、武将が増えた結果の内政部分とストーリー、とにかく後半のダルさが惜しい。中盤までにかけては本当に面白い。