[Data]
ハード:Segasaturn
メーカー:セガ
発売日:1995.06.30
ジャンル:横スクロールアクション
実勢価格:4,000~8,000円(中古価格)

評価:★★☆

[Review] 2017.06.22

新・忍伝

●概要
 1987年リリースのアーケードゲーム「忍-SHINOBI-」の系譜を受け継ぐ、横スクロール忍者アクションゲーム。メガドライブを中心にいくつもの作品が発売された忍シリーズだが、今作を区切りにしばらく発売が途絶え、次に登場するのは7年後、PS2の「Shinobi」となる。 発売して1年後くらいには1,000円で間違いなくお釣りがくる価格帯で投げ売りされていた記憶しかないが、現状かなりのプレミア化が進行しており、店舗によっては8,000円を超える価格がつけられているようだ。サターンは「なぜプレミア化したか不明」という作品がちらほら混じるが、本作もそんな作品の一つのように思う。

 サターン初期の作品では割と多かったように思われる「実写取り込み」を採用しており、サターンのパワーを生かしたヌルヌルとした動きが特徴。オープニングや途中途中に挟まるデモムービーはすべて実写で、一昔前の忍者ものVシネマを彷彿とさせる。それとこれとは完全に別だろうが、なぜか「推奨制限18歳以上」のレーティングがついている。

●基本操作
 Aで手裏剣(クナイ)・Bで刀攻撃・B押しっぱなしでガード・Cでジャンプというのがデフォルトでのコントロール。ジャンプはジャンプ中にもう一度Cで2段ジャンプ・壁に向かってジャンプ後Cで壁を蹴ってさらに高く飛ぶ三角飛びも可能。ベースとなるのはほぼBでの刀攻撃で、ガードを駆使しながら刀で斬り、遠いところにいる敵用にたまに手裏剣を使うといった感じになる。刀攻撃は十字キーと合わせての攻撃バリエーションが多く、地上での突き攻撃やジャンプ中の下突きなどもあり、動きの豊富さは見ていて楽しい。

 全体的に動きはいいのだが、2段ジャンプのタイミングがやたら難しく出せないことがあったり、歩きやダッシュがちょっともっさり気味だったりと、惜しいところもいろいろ。方向キー1/4回転で出る「前転」が暴発しやすいのも困る点。足場が狭いところも多いだけに。

●美麗なグラフィックと実写ムービー
 さすがセガとでも言おうか、キャラクターはもちろんのこと、背景の出来も登場時期を考えれば相当高いレベル。特に外のステージは背景を含めてぜひ細かく見ていただきたい。さすがにこの2D力技は初期PSではなかなか難しかっただろうなあと。背景の竹林を切ることが出来たり、木の枝に乗ると重さに耐えきれず折れたりなど、地味ではあるが細かいギミックも多い。

 実写ムービーについては、ジャパンアクションクラブ(JAC)の役者を使っているとのこと。基本人物アップでごり押し・浮き気味のエフェクトなど、チープさを隠せない感じが冒頭に書いた通りの「90年代忍者ものVシネマ(お色気なしver)」という感じ。何だかんだ役者を使っているので演技がやばいとか内容自体がそんなに悪いとは思わないが、暗すぎて何をやっているのかよくわからないシーンが散見され、さすがに光源何とかしろよ、と思った。

●後半につれて急上昇する難易度
 ゲーム開始前のオプションで難易度の変更が可能。何にせよ序盤はガードさえ慣れればさほど難しくなく、途中途中に出てくる青い命玉10個で1UPできるので残機の使い切りも少ないだろう。
 問題はSTAGE5のトロッコステージあたりから。狭い足場に大挙して押し寄せる敵の対処に加えてトロッコからトロッコへのジャンプ移動が難しく、先に書いた2段ジャンプのシビアなタイミングが加わると、ジャンプが届かず落下死が多発。敵も敵でめくり攻撃のようにいやらしい飛び道具の投げ方をしてくるので、ガードするにも大変と多方面からいきなり殺しにかかる構図。これ以降のステージは落下死・一撃死のオンパレードで、急激に上昇する難易度についていくのが大変。繰り返しになるが、せめてもう少し2段ジャンプがやりやすければ…

●総評
 実写ムービーのチープさが前面に出た結果当時からバカゲーと言われることも多かったが、実際中身は意外としっかりしている。ただ後半の急激な難度の高騰で心が折れかけるところも。序盤ならバカゲーと割り切って楽しめるかもしれないけど、後半はどうだろう。