[Data]
ハード:Playstation Vita
メーカー:アトラス/ヴァニラウェア
発売日:2016.01.14
ジャンル:アクションRPG
実勢価格:3,800~4,500円(中古価格)

評価:★★★

オーディンスフィア レイヴスラシル

●概要
 2007年にPS2向けソフトとして発売されて大ヒットとなった、ヴァニラウェア制作・アトラス発売のアクションRPG「オーディンスフィア」を約10年ぶりにHD画質・ワイド対応でリメイクした作品。今回紹介しているPS Vita版のほかに、PS3版・PS4版も同時発売となっており、セーブデータを共有できる「クロスセーブ」にも対応している。

●変更点:HD化
 世代がだいぶ変わり、PS2から次世代に移行したことでHD化され、ワイド画面対応に。PS2の前作はキャラが大きくて魅力的だった反面画面が狭くなってしまっていたのだが、横長で広くなり見やすくなった。グラフィックも前作の時点ですでに高品質なものがさらに高品質になり、ステージ自体がほぼ一新されたことで追加グラフィックも大幅に増えている。

●変更点:アクション
  ここもすぐにプレイしてわかる部分。モーションはほぼすべて変更と言ってもいいくらい変わっており、コンボも全くもって異なる。相手を空中に打ち上げる技も全キャラに用意され、そこからのコンボも追加されるなど、ほぼ別のゲームと言ってもいいくらいの変わりようだ。
 前作は攻撃することで画面上側にある「POWゲージ」が消費され、ゲージが0になると一定時間操作が不能になっていた。連続して攻撃することに半ば強制的なストップがかかる仕様になっていたが、今作では後述のスキルのみPOWゲージを消費する形に変更されたので、流れを妨げられることがなくなった。(メルセデスのみPOWゲージを消費⇒地上でリロードになっている)
 前作の「サイファースキル」も、POWゲージを消費するスキルとフォゾン吸収により貯まる「PP」を使うスキルとに分類され、数も大幅に増えた。○ボタン(もしくは方向+○ボタン)へのショートカットも導入され、コンボにも組み込みやすくなっている。気になるところを強いて言えば、マップ移動の動作とかぶって暴発することのある↑+○はなくても良かったんじゃないか、くらいか。ショートカットに登録しなければいいだけの話だが。

 グウェンドリンの例で行くと、通常攻撃×4⇒敵怯みからの打ち上げ⇒【空中での通常攻撃×4⇒スキル「ニードルストライク」⇒打ち上げ⇒空中での通常攻撃×4⇒スキル「ニードルストライク」⇒打ち上げ⇒空中での通常攻撃×4⇒スキル「ニードルストライク」⇒スキル「アイスショット」⇒着地して降りてきたところを打ち上げ】⇒【 】内繰り返し   だけで200近いコンボをあっという間に稼ぐことができる。3セットで強制的にコンボが止まる仕様になっているようで無限にはさすがにできないが、このあたりのコンボを探す楽しみもあるだろう。

●変更点:フォゾン集めや使用について
 前作では種にフォゾンを与える際、敵を倒す前に種を植えておいて倒した後に出てくるフォゾンを吸わせる or コールフォゾンを使ってフォゾンを放出する…という手順が必要で、実を作るのに地味な手間がかかるという仕様だったものが、無制限に放出できるように変更。(これによりコールフォゾンは廃止)R1を押さないとフォゾンを吸収できなかった部分も、近づけば吸収されるように変わった。
 上述のスキルはフォゾンによるレベルアップ要素があり、ここに大量のフォゾンを消費するという内容に変わったので、出てくるフォゾン数自体も前作から飛躍的に増えている。

●変更点:マップ
 1つのステージエリアが円形で表現されるマップは従来通りだが構成自体がガラッと変わり、ステージに高さの概念ができたので、縦長のステージが出来たり、斜面のステージが出来たりと多様になった。
 他にも、ショップステージが「レストステージ」に変わり、ショップ以外に出張料理屋「モーリィの出張レストラン」が出来たり、フォゾンを生み出すローズマイルの花が自生するようになったりなどの変更がある。
 出張レストランでは、従来通り材料を用意して料理を作ってもらい、経験値+最大HPアップの恩恵を受けられる。今回は材料が必要な出張レストランと金貨を払って作ってもらうプーカ地下街内のレストランとに分類されたので、材料の使い道は前作に比べると少なめ。

●変更点:魔法
 素材となるマテリアルにアイテムを組み合わせると作ることのできる魔法薬も大きく変化。前作ではマテリアルがないと作ることができなかったが、今作では魔法薬をベースに違う魔法薬を作ることができるようになった。前作はマテリアルに2桁の数字で表される「グレード」が存在していたが、こちらも一桁数字の「レベル」になり、魔法薬にも最大9のレベルがつくようになった。
 マテリアルのグレード下一桁の数字+指定のマンドラゴラやアイテム…という、今考えるとなかなか難解なシステムも撤廃され、加えるマンドラゴラやアイテムの種類だけで出来上がる魔法薬が変わるシンプルなものになったので、非常に使いやすい。

 魔法薬での最大回復が「エリクサー」でのHP1,000回復(テイクアウトだとブラウニーの2,000回復)だった前作と違い、今作は「ヒール」レベル9が7,000もの回復量になってしまった上に作るのが非常に簡単になったので、テイクアウト料理との重要性が完全に逆転しており、料理を持っていく必要性がまるでなくなってしまった。別に悪いことではないが。

●変更点:そのほか
 アイテムを選択するリングメニューも大幅な改修が加えられ、種類ごとにソートされるようになったり、種やマンドラゴラは種類ごとにまとめて表記されるようになったり、リングじゃない一覧メニューに変えることができるようになったりとわかりやすくなっている。
 遠距離攻撃キャラであるメルセデスについては、一部ステージ内にシューティングステージが用意されたのも大きな変更点だ。あと、処理落ちがほぼなくなったのも大きい。

●総評
 前作プレイ時には当たり前のように思っていた部分がごっそり変わっていて、変わった部分がどれもこれも「シンプルにわかりやすく」変わっているというのが見事。良くも悪くも前作は癖のある作りだったが、良い部分を残して癖だけを徹底的に取り去ったという感じ。一度本作をプレイしてから前作に戻ると、こんなにいろいろややこしかったっけ…?となる。
 前作のシステムをそっくり持ってきた「クラシックモード」も入っているので、変わったところを逐一確認しながら進めていくのも楽しいだろう。

 簡単操作・美麗グラフィック・伏線をきちんと回収するストーリー・高品質な音楽…2DアクションRPGとしては現状最高峰と言っても言い過ぎではないだろう。3機種どのバージョンも値段がなかなか下がってきてくれないのがネックだが…