-Vision-

RPGの雄、ドラゴンクエストシリーズの第2弾。第1作でRPGというものを日本中に広く知らしめた作品だが、その基本形は踏襲しつつ、 容量を倍の1Mにしたことでのマップの大幅な拡大(1の4倍の大きさというのが話題になっていたが、実際の領域は6倍だそうだ。単純に面積だけなら4倍かもしれない)や、 ファミコン史上おそらく初のパーティーシステムを採用した戦闘システムなど、数々の進化を遂げた作品。1のわずか7ヵ月後に出ているあたりは今の開発状況ではまず真似できない部分。

まず、マップの広さ。自分が歩いて新しい町を発見したりストーリーを展開していったりするという”未知を旅する”部分に関しては前作ですでに表現できていた部分だが、 マップを広くしたことにより、「移動手段を複数用意する」という次のステップに進んだ。それがシリーズ初登場の「船」なんだが、いいステップの踏ませ方だと思うんだ。 大海原を未知なる世界に進む…なんて、陸を進むよりもっと冒険心を掻き立てられる(自分だけかもしれないけど)じゃないか。

アレフガルドの世界が再登場しているのもいい伏線になっている。前作のアレフガルドよりは小さくなっているし、街もかなり削られてしまうなどしているのだが、 前作で最初から最後まで共にした世界が今回の冒険ではわずか数時間の滞在のみになる、前作をプレイしている人ほど世界が広がったことを体感できるはずだ。 こういうのはつくづくうまいなーと思う。

そのほか、今回から一瞬で離れた場所にワープする「旅の扉」というのも出来た。飛び込んでみたら見たことのないほこらに飛ばされた挙句、 外に出てみたら小さい島で回りが海だらけ…なんてことを誰しも1回は経験したかと思うが、広くなった世界を体感させるには十分すぎるほどのインパクトがあるものだった。 ルーラなどで自由に街を行き来できない分、2の世界では徒歩・船・旅の扉だけが移動手段になるが、制限された手段の中でそれぞれをどう使うかをよくわかっている。

さて、次は戦闘。3人パーティになってターン制の戦闘も初登場。モンスターと編隊を組んで登場するようになり、後のシリーズ全てで採用される基本形式がここで出来上がった。 体力と攻撃力が高い代わりに呪文が一切使えないローレシアの王子・攻撃/呪文を両立する(実際は両立でき損ねた感があったが)サマルトリアの王子・ 体力や攻撃力が低くて呪文のエキスパートであるムーンブルクの王女と、3人それぞれがはっきりした特長を持っており、1ターンをどのように使うかという戦略的な戦闘を可能にしたのは大きい。 ステップの踏ませ方というのをこの項目ではさかんに言ってるけど、これもすばらしい展開のさせ方だと思う。

難易度の高さはどこでも言われていることなので特に触れる必要もないかと思う(みんな同じところで詰まってたようだし)。 SFCのリメイク版では相当簡単になっているので、今プレイするならそっちかなぁ。ロンダルキアではザラキ連発するブリザードがとにかく怖かったです。 ギガンテスとかも充分怖いんだけど、あの一撃死の恐怖は天下一品でしたわ。

シリーズ通して登場している経験値稼ぎモンスターといえばメタルスライムだけど、このゲームに関しては経験値わずかに105(リメイク版では1350になってるはず)、 レベルの高いロンダルキアの王子には通常攻撃で葬り去られる…と、あまりらしくない働き。まあ、はぐれメタルも経験値1050(リメイク版では10500)だったしな。 余談だけど、はぐれメタルのHPはこのFC版2が一番多くて、3以降はほとんどHP6くらいなのにこのゲームだけHP35という異様に高い数値になっている。

まあいろいろ書いたけど、第2弾として前作からこれほどまでにきちんとした進化を見せてくれる、大ヒットした理由もなんとなく頷ける気がするのですよ。 20年も前の作品だけど、源流を感じさせてくれる素晴らしい作品です。

[ドラゴンクエスト]のレビューへ [ドラゴンクエストIII〜そして伝説へ…〜]のレビューへ
sinth 2005.06.04 Webmaster: S.K Mail: vision_hp@hotmail.co.jp