社会現象を巻き起こしたことでも有名な、RPGの大ヒットシリーズ・ドラゴンクエストのシリーズ第3弾。 前作のパーティシステムを発展させたキャラクターメイキング要素&転職要素・第2の世界の登場など、2からの正当な進化を遂げた作品。 2からの製作期間はわずか1年。次回作以降はだんだんと間が伸びていくが、このころの製作のペースは凄まじい早さと言える。
パーティシステムは前作から進化を遂げ、前作から増えて最大4人パーティとなった。しかし4人パーティにしなければならないわけではなく、 やろうと思えば勇者1人でクリアまで持っていくことも出来る。勇者以外のキャラクターは、名前・職業・性別を自分で設定することでパーティキャラクターとして使えるようになる。 結局のところ、勇者以外は何人いようがどういう職業で並べようがプレイヤーの自由になっていて、ドラクエ史上最も自由度の高いパーティーシステムを採用した作品だろう。
ドラクエシリーズは毎度毎度うまくプレイヤーにステップを踏ませるというのは2のレビューでも散々書いたとおりだが、 パーティシステム・戦闘においては、「はっきりとした特徴のあるキャラクターによって戦闘をより戦略的にする」ステップだった前作から、 今作では「自分でパーティーを組むことにより、キャラクター作成の時点で戦略性を要求される」という新たなステップに移行した。
2の3人はそれぞれが完全に戦闘に役立つ特徴を持っていたが、今回はそんな職業ばかりではなく、戦闘にはおよそ不向きな職業もいくつか用意されている。 もちろん攻撃・呪文それぞれのエキスパートも選べるようになっているし、戦闘には役立たなくてもストーリー上の重要な役割を担う職業まであったりする。 キャラクター一人ひとりの個性という点では2よりも薄れているが、このパーティシステムによってさらに戦闘を奥深いものにした、その功績は大きいと思う。
育てた後の特典としても役立ったのが「転職システム」。もともとの職業の特徴を受け継ぎつつ、新たな職業の特徴も取り入れられる。 魔法使いが戦士に転職すれば、最終的に体力・攻撃力が高くてしかも呪文も使える万能戦士に…と、キャラクターメイキングだけではなく、 メイキングしたキャラクターを育てる喜びまでもがこの時点のゲームで充分に体感できたわけだ。
次はマップ。広さは2と同じ広さだが、地球をそのまま模したワールドマップは面白かった。一部の地名では実在する国の名前がモデルになっていたりもするし。 そして、初めてアレフガルドが第2の世界として登場した。バラモスを倒した後に登場するという展開にまず驚かされ、その正体がアレフガルドだったことにさらに驚かされる。 ドムドーラの町が存在することなどから時系列はすぐに判明するが、いったんクリアと思っていた矢先の新たな驚きは大きかった。
もうひとつ、今回から移動手段に空を飛ぶ乗り物・伝説の不死鳥「ラーミア」が加わった。神曲なのはもちろんだが、 これによって、障害物に左右されずに世界中を旅できるという新たなステップへと進んだことになる。 今回からルーラも一度行ったことのある町にワープできるようになっているなど、簡単に移動できる部分が進化している。
全体的な音楽も素晴らしく、社会現象を巻き起こすだけの面白さは間違いなく存在する。バッテリーバックアップ初採用のゲームだったが、 衝撃になどに非常に弱かったのは今となってはいい思い出。冒険の書が消えた瞬間の真っ暗な画面・そしてあの音楽は一回体験したら一生忘れることの出来ないほどインパクトあるだろうなー…。 ドラクエシリーズ中一番人気なのも理由があるから。ファミコンという制約のある中で実現したこの素晴らしさは体験するよりありません。