-Vision-

SFCでは初となるコマンド選択型のオーソドックスなRPG。PC98で発売されたRPG「ディガンの魔石」が元となっているようだが、世界は同じでもストーリーは全くの別物だそう。 音楽は「ディガンの魔石」の音楽が使われていたりするとのことだが、未プレイのため確認できず。

ストーリーは、宇宙探査船に乗っていたリュウが惑星ガデュリンに不時着。地球に帰る方法を探して惑星ガデュリンを旅する…といった具合。 もともと確立している世界観ということなのか大きな破綻もないし、グラフィックも出た当時を考えればなかなかに美麗な水準にある。 音楽は相当良い。特にボス戦の音楽やエドナの神殿の音楽などが上げられるが、SFCの超初期とは考えられないほどクォリティが高い。 このあたりは聞く機会があればぜひとも聞いてほしい。

システム面はごく一般ながら、自動で全回復してくれるシステムがあったり(もちろんMPやアイテムは使用する)、 武器や防具に重さがあったりと細かいところでのこだわりはある。 セリフに誤字脱字がかなり多かったり操作性は正直いまいちだったりと、気合が入っているところと抜けているところがはっきり分かれるのは微妙だ。

特筆すべきは戦闘関連で、まずは豊富なコマンド。逃げるからして3種類(そっこう・くらます・ばらまき)あるほか、敵の攻撃に対してカウンターを入れる「ゆうげき」・ さらには敵と交渉(しかも物を与えたり説得したりと複数コマンドあり)して仲間に引き入れたりできると盛りだくさん。 仲間に入れた敵は戦闘中に召喚して使うこともできる。実際に役に立つことはほとんどないと思う(成功率があまり高くないので仲間に入れにくい)が。

そのほか、飛ばされてる間はガード不可・相手への攻撃不可になる「つきとばし」(1ターン)「ふっとび」(3〜4ターンくらい)があったり、 通常攻撃を4回連続で繰り出す「げきれつヒット」「つうれつヒット(敵が出すとこの名前)」・さらには行動するごとに消費するスタミナ(なくなると攻撃を食らっただけでふっとぶ)など、 まあよくも思いついたものだと言わんばかりに実験的なシステムを多数詰め込んでいた。

極めつけなのは、防御力無視&通常攻撃の実に12倍ものダメージを与える「極めの一撃」で、序盤なのに極めの一撃を繰り出すと1000以上のダメージが当たったり。 さらには敵にも同じような効力を持つ(こちらは10倍だと記憶していたが12倍かもしれない)「涙の一撃」があり、これを出されるとザコ敵からだろうがたいてい一撃で葬られる。 この稀に訪れる涙の一撃の恐怖がトラウマになった人もいそうだ。自分の中では、最初のボスにいきなり涙の一撃を出されたときにはこのゲームやめてやろうと思ったが。

…と、とにかく戦闘面ではかなりのオリジナル要素を詰め込んではいたのだが、さてさてこれを全て活かしきれていただろうか…と考えてみると、 ふっとび要素は面白いが行動のたびに画面が揺れるエフェクトが入るなど戦闘が無駄に間延びしているし、敵を仲間に出来る要素の上記の通りあまり使えた印象がないし、 3種類の逃げるも結局違いが明確になってなかった。臨場感を出すためか、攻撃の際に「ぼうぎょさせない!」「ぼうぎょできない!」などのメッセージが頻繁に入るようになっているが、 これも実際問題テンポの妨害にしかならなかったんじゃないかとも思える。

まあ欠点はいろいろ出てくるんだけども、完成された世界観とグラフィック・音楽にひたすら救われた感のあるゲーム。あまり売れたゲームではないと思うが根強いファンは多く、 これだけうだうだ言っていた自分の中でも、このゲームは割と面白かったゲームに位置づけられる。確か発売して大して日を置かずに購入した記憶があるんだが、 思っても見なかった掘り出し物を見つけたような地味な感動があったりしたよ、このゲームには。

[F-1 GRAND PRIX]のレビューへ [餓狼伝説SPECIAL]のレビューへ
sinth 2005.06.04 Webmaster: S.K Mail: vision_hp@hotmail.co.jp